元妻からしても「は?なめてんのか?」な事案である。自分探しプロの同業者からも「あいつ、終わったな」とおもわれること必至。

 しかし、ブッダはここで、のちに人類の歴史にのこる、重大な選択をした。

「おれ、おかゆ、食う」

 おかゆを食うことでみえるかもしれない、新しい景色に賭けたのだ。

 ズズズッ(食べる音)。
 あぁ…うまい…(感想)。
 うまいよね…(ギャルの感想)。

 ギャルの慈悲がつまったおかゆは、沁みた。

 ブッダの体力と気力がモリモリ回復した。過去最高のコンディションである。

 そのままの勢いで、食後、おっきい木の下で瞑想したら、悟りを開いてしまった。

 そんなことある?

 ちなみにこのギャルは「スジャータ」という。コーンスープとかでおなじみの日本の食品メーカーの名前の由来になっている。

書影『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』(サンクチュアリ出版)
しんめいP 著、鎌田東二 監修