稲盛和夫が「誕生日会」を大切にした理由、“1時間おしゃべりするだけ”の米国版もまさかの大ウケ!Photo:PIXTA

「経営の神様」と称された稲盛和夫氏は、社内で開催する誕生日会をとても大切にしていた。「経営哲学『フィロソフィ』の実践そのもの」という位置付けですらあったという。その理由をお伝えしよう。(イトモス研究所所長 小倉健一)

「誕生日のお祝い」は
現代社会で大きな意味を持つ

 天皇家の誕生日会について触れた興味深い記事があった。「文春オンライン」特集班による記事(2023年2月23日)で、タイトルはすごく長く『美智子さまはピアノの生演奏、雅子さまは恩師に特別な気遣いを… 皇族の“お誕生日会”では何が行われるのか?「ハッピーバースデーは歌いません。プレゼントは…』というものだ。

 その中で、「天皇陛下のお誕生日にも、いわゆるお誕生日パーティーのような会が催されていますよ。日頃、様々な専門分野で親しく交流されている方々を招いて、感謝の意を示すお茶会が当日の夕方頃から皇居内の御所で行われます。“茶会”という名前ですが、アルコールやおつまみも出され、参加者は70~80人ほど。ただ、この茶会ではいわゆるバースデーケーキはありませんし、もちろん『ハッピーバースデー』も歌いません」と皇室ライターのつげのり子氏のコメントが紹介されている。

 これだけ社会的な分断が進み、隣の人や同じ会社の人間でも考え方が違って、またその違いが尊重されるような時代において、みんなで誕生日を祝うことは、とても意味があるように感じる。

 なぜなら、誕生日を祝うことはあらゆる文脈において可能だからだ。

 保守的な立場から考えると「絆」を強化するイベントになり得るし、リベラルな立場から見ると「誰もが価値のある存在」だと認め合う機会にもなる。ビジネスリーダーの立場では「社員のエンゲージメントやチームビルディング」を促進するイベントに見えるだろう。

「クリスマス粉砕!」というデモ行進がある時代だ。世の中に幾千万の考え方があるだろうが、誕生日に反対するというのはあまり聞いたことがない。

「経営の神様」稲盛和夫氏も
社内の誕生日会に参加していた

 京セラ、KDDI(当時DDI〈第二電電〉)を創業し、経営破綻した日本航空(JAL)を復活させたことで、「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏。自身の誕生日も含めて、稲盛氏も参加していた誕生日会がかつて京セラの社内で開催されていた。

 そして、その誕生日会は、稲盛氏の経営哲学である「京セラフィロソフィ」の実践そのものと位置付けられるほど重要なイベントだったという。それはどのようなものだったのか。