雑談ひとつで職場の雰囲気が変わる

 気軽に雑談ができる職場には、人事異動や転職で新しい人が入ってきたときに周囲と打ち解けやすく、新しい仕事環境に慣れやすいというメリットもあります。

 例えば、人事異動で地方の営業所から転職になったAさんが、初めて職場に出社してきた場面を想像してみてください。Aさんにすれば周囲の人とはみな初対面。「新しい職場で上手くやっていけるのか」「みんなと打ち解けて協力しながら働けるのか」といった緊張や不安を抱えているはずです。
 
 そんなときに迎える側の職場の人から話しかけられて、気軽に雑談をする機会を持つことができれば、それだけでもAさんが職場になじむ大きなきっかけになります。

自分「Aさん、初めまして。△△部の○○です。Aさんって福岡営業所から転勤して来られたんですよね。実は私、プロ野球好きで、福岡ソフトバンクホークスのファンなんです。だから福岡営業所勤務っていいなぁって、ずっと思っていたんです。Aさんは福岡には何年くらいいたんですか?」
Aさん「入社してすぐなので、もう5年です。福岡を離れるのは、今回が初めてなんですよ」
自分「そうなんですか。もともと九州のほうの出身なんですか?」
Aさん「ええ、福岡生まれで、実は実家も福岡の博多にあります」
自分「野球とか、見ます? やっぱり贔屓はソフトバンクですか?」
Aさん「そうですね。PayPayドームにも見に行きますよ。まだヤフオクドームの頃から、けっこうよく行ってますね」
自分「え~、いいなぁ。私はまだ福岡には行ったことがないんです。一度はPayPayドームに行くつもりなので、そのときはいろいろ教えてください」
Aさん「もちろん。ドーム近くのおいしいお店も教えますよ」

 のように、「何気ない雑談」をするだけでも、Aさんの緊張感が解けて、職場になじみやすくなります。同時に、迎えるこちら側も「Aさんってどういう人なんだろう」という不安や和らぎ、ウエルカムな雰囲気になるでしょう。

 仕事の情報伝達とは関係のない、気軽な雑談を交わすことで、働く人たちの関係性の“すべり”がよくなり、そこから親近感や連帯感が生まれ、それが仕事にもプラスに働く。

 雑談は「何気ない会話」ですが、職場の雰囲気を和らげ、気持ちよく働ける環境を生み出し、かつ仕事の生産性を大きく高めてくれる“神・潤滑油”なのです。

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