雑談のできる職場では、生産性も高まる?

 職場では、さまざまな人がさまざまな話をしているように思えますが、極論すればビジネスの現場における会話は以下の2種類に大別されます。

(1)報・連・相や確認、交渉、折衝などの「仕事上の情報伝達を目的とするフォーマルな会話」
(2)それ以外の「個人的な経緯や感情を共有する何気ない会話=雑談」

【『話せる、伝わる、結果が出る!コミュトレ』(2)】何気ない雑談は職場に不可欠な「潤滑油」〈PR〉

 ビジネスにおいて仕事を動かすための情報伝達である(1)が重要なのは当然です。では、なぜ(2)の何気ない雑談が不可欠なのか。

 それは、職場で気軽に交わす雑談が、「場の空気を和らげて相手と打ち解け、仕事を円滑に進めるための潤滑油」という重要な役割を担っているからです。

 Googleが実施した社内調査によれば、「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」という特徴があることが判明しています。

 心理的安全性とは、要するに「誰もが気兼ねなく何でも言い合える状態」のこと。心理的安全性の高い職場とは、「仕事上の情報伝達だけでなく、気軽に何気ない雑談ができるような打ち解けた職場」ということです。

 席が近い同僚とのちょっとした世間話、休憩中に交わす趣味やプライベートの話、単純作業をしながらの何気ない会話――。こうした雑談を通して打ち解けることで、お互いの人柄も知れて相手への理解が深まり、気持ちのいい関係性が構築されます。

 雑談が多い職場では、自然にお互いの“人となり”が知れて、メンバー同士の結束も深まります。メンバー間で常にコミュニケーションが図られていれば、ミスも少なくなり、無駄な作業や不要な残業もなくなり、仕事も円滑に進むようになるでしょう。

 職場の雰囲気を和ませる雑談は、1人1人の働きやすさにも、職場全体の仕事のクオリティにも大きなプラスの効果をもたらしてくれます。

 仮に、雑談が一切ないような職場はどんな雰囲気になるでしょうか。

 会話は「仕事の情報伝達に関わる用件や案件」だけで、あとは誰もがただ黙々と業務を進めているという状況は、緊張感から場の空気が硬く、張り詰めたものになりがちです。

 気軽なコミュニケーションが図れず、周囲の同僚との関係性も希薄になって、チームや組織としての一体感も生まれにくくなるでしょう。そうした環境下では、

・仕事上の相談事や悩みがあっても周囲に声をかけられず、1人で抱えてしまう。
・相手の顔色を窺って自分の意見や考えを主張することができない。
・周囲とのつながりや信頼関係が築けずに、人がすぐに離職・転職してしまう。

 といった事態が発生するリスクも高く、業務にマイナスの影響が出る懸念があります。そして、その懸念を解消するのが、「何気ない雑談」なのです。