どうして自分ばかり仕事でつまずくのだろう――。いつも全力で働いているにもかかわらず、誰にも評価してもらえない、なんて悩みを抱えるビジネスパーソンもいるだろう。もしかしたら、そんなあなたに必要なのは“手放すこと”なのかもしれない。がんばりすぎる現代人に身に着けてほしい仕事術とは。本稿は、『それ、捨ててみよう』(伊庭正康、WAVE出版)の一部を抜粋・編集したものです。
「残業は自己満足でしかない」
上司に言われた衝撃の一言
上司や取引先の人に言われたひと言を引きずり、ずっと考えてしまう。
こだわりを持って仕事をしていたらなかなか終わらず、いつも残業。
「考えても仕方がない」と頭ではわかっていることなのに、やめられない。
真面目に頑張っているわりに成果が上がらないし、評価されない。
このように思い、「なんでだろう?」「どうしたらいいのだろう?」と考えたことはありませんか。
これらの原因は、あれもこれも自分で抱え込んでしまうことにあります。私もあるときは寝られなくなることもありました。そのことは、私の著書で白状することにしましょう。
その前にまず、自己紹介をさせていただきますね。
こんにちは。伊庭正康です。私は現在、研修講師として、年間200回以上登壇をしていますが、前職では営業を担当していました。
特に最初の頃は、とにかくがむしゃらに頑張り、走り続け、残業の常連でした。いつも仕事に追われていました。今から考えると、何をそんなに頑張っていたのだろうと思うのですが、とにかく細かい部分にまで全力を注ぎ込んでいました。たとえば、資料の文章の一部分にもこだわり、時間をかけていました。また、取引先の人や上司のちょっとしたひと言が気になり、引きずることもありました。
その結果どうなったか? というと、体が悲鳴をあげました。一晩寝ても、翌日体の疲れが抜けず、どんどん疲労が蓄積していったのです。だるさばかりが増えていきました。「でも、頑張らなければ……」と必死の日々でした。そのうち、「この働き方を続けていたら、近いうちに体を壊す」と思いはじめました。
そんなとき、上司にこんなことを言われたのです。
「残業は自己満足でしかない。やることを減らしたほうが成果が出るぞ」
え? 残業は自己満足? こんなに頑張ってるのに? しかも、時間をかけないほうが成果が上がる? 意味がわかりませんでした。ちょっとムカッともしました。