東京地検は「裏金問題」で議員を逮捕できないと分かっていた?本当の狙いは…【池上彰・増田ユリヤ】

政界を揺るがす自民党のパーティー券問題。裏金は何に使われるのか。日本の制度の問題点は何か。ジャーナリストの池上彰氏と増田ユリヤ氏が徹底解説する。(ジャーナリスト 池上 彰、増田ユリヤ 構成/梶原麻衣子)

政治資金規正法違反では
議員を逮捕も立件もできない

池上 自民党の最大派閥、安倍派(清和政策研究会)を中心とする政治資金問題。安倍派所属議員99人のうち、77人が政治資金報告書を訂正しました。

増田 個々の議員が所属する派閥の政治資金パーティーのパーティー券を企業や個人に買ってもらい、派閥のノルマを超過した分が議員にキックバックされていたにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載していなかった。そのことが発覚したので訂正した、と。

池上 収入の記載がないため、支出の記載もない。つまり何に使われたか分からない状態の収支があり、安倍派はその額が直近5年間の総額で6億7500万円に上るとみられています。

増田 安倍派所属の池田佳隆衆議院議員は5000万円近いキックバックを得ていて、政策秘書と共に逮捕・起訴されました。しかしこれは証拠隠滅を図ろうとしたから、ですよね。

池上 そうです。議員や秘書が次々に逮捕されるのではないかと期待した人もいたと思うのですが、議員では額の大きかった上位3人の起訴にとどまりました。

 そもそも東京地方検察庁特捜部は、政治資金規正法違反では議員を逮捕も立件もできないことを分かっていながら、報道機関に期待をあおるリークを行ったのです。