元ドイツ代表のレジェンドにも
忖度なしの韓国メディア

 なお、クリンスマン監督は現役時代、ドイツ代表のストライカーとして活躍した人物だ。引退後はドイツ代表監督も務め、自国開催された2006年のドイツW杯で同国代表を3位に導いた。その後はアメリカ代表などの監督も務め、23年2月に韓国代表監督に就任した。しかし、直後からKFAやメディアとの間に摩擦が生じていたと、別の韓国メディア「マイ・デイリー」が伝える。

「クリンスマン監督は、韓国代表監督に就任した際の『韓国国内で活動する』という約束を瞬く間に反故にした。アメリカでの自宅勤務を優先させた同監督の要望により、KFAは代表選手発表などの記者会見をすべて廃止した。批判を受ける度に『アジア杯を待ってほしい』と繰り返してきたが、史上最強と言える陣容で臨んだはずのアジア杯でも完敗した。帰国後に『いい成績を収めた』と発言して国民を激怒させたクリンスマン監督は、すぐに極秘裏にアメリカへ帰国している」

 KFAは15日にアジア杯を検証する戦力強化委員会を開催。オンラインで出席したクリンスマン監督は、戦術不足を指摘する声に「ソン・フンミンとイ・ガンインの確執が敗因だ」と反論した。イギリス紙へのリークが同監督によるもの、といった声もあるなかで、自らの非をいっさい認めない無責任な姿勢を、スポーツ紙の「スポーツ・ソウル」も厳しく批判した。

「独自の戦術や戦略を持たず、ヨーロッパでプレーする選手の個の能力に頼ったサッカーのなかで国内組の選手は傍観者であり続けた。これらが放置され続けた結果が、代表チームのモチベーションの著しい低下を招いた。リーダーシップなき指揮官に、誰もついていけなくなっていた」

 手厳しい書きぶりだが、この「スポーツ・ソウル」の指摘に気になる箇所がある。引用部分の前半にある「独自の戦術や戦略を持たず、ヨーロッパでプレーする選手の個の能力に頼ったサッカー」は、実は日本代表の森保一監督にも共通するからだ。