Photo by Yasuo Katatae
M&A仲介大手のM&A総研ホールディングスの2025年9月期決算では、同社の本業で成長をけん引してきたM&A仲介事業が、創業来初の減収減益に沈んだ。競合の大手3社はそろって増収を確保するなど好調を維持している一方で、なぜ減収減益となったのか。特集『M&A仲介 ダークサイド』の#18では、その背景にあった、同社特有の問題点について解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
業績“踊り場”のM&A総研HD
M&A仲介業で初の減収減益
会社の売却を検討する譲渡企業と、買収する譲受企業の間に立ち、交渉や手続きなどを支援して、M&Aの成立を目指すM&A仲介会社。日本M&Aセンターホールディング(HD)、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライクが業界の御三家と呼ばれる。
この10年、M&A仲介業界が一丸となって事業承継の手段としてM&Aが有効だと盛んに喧伝した結果、中小企業のM&A市場が急拡大。M&A仲介各社の業績は急伸し、まさしくわが世の春を謳歌してきた。
M&A総研ホールディングス(HD)は2018年10月創業と後発ながら、御三家に割って入る勢いで成長を遂げた新進気鋭の代表格。ところが同社は25年9月期、創業来初めてM&A仲介事業が減収減益となった。
M&A総研HDのM&A仲介事業の売上高は前期比7.1%減の151億4600万円で着地。営業利益は32.4%減の58億7800万円となった(下図参照)。ストライクも減益となったが、前期比6.5%減にとどめたことを考えると、M&A総研HDの不調ぶりが際立っている。コンサルティング事業が立ち上がり、売上高はカバーして全体の連結売上高はなんとか前期比0.3%増を確保したものの、連結営業利益は41.0%減と散々な結果となった。
急成長してきたこれまでとは、明らかに変調を来し始めたM&A総研HD。背景に何があるのか。探っていくと、同社特有の事情が浮かび上がった。また、業績を悪化させる“負の連鎖”に突入する瀬戸際の状況にあることが分かってきた。次ページで詳しく解説していく。








