IC(LSI)は、大きくデジタルICとアナログICに分けられます。デジタルICには、用途別に以下のような種類があります。

・ロジック半導体:論理演算を行うIC
・メモリ半導体:データを保存するためのIC
・パワー半導体:電力変換・電送やモーター制御などに使われるIC

 中でも現在最も注目されているのが、CPUやGPUなどに使われるロジック半導体です。これにはAI、生成AIの普及が大きく影響しています。また、先述した経済安全保障もロジック半導体の重要性が増している要因となっています。

 ロジック半導体はAIや生成AIのほか、通信やモビリティの分野でも活用されています。通信では5Gやそれ以降の次世代通信システムで、モビリティでは自動運転などの用途で需要がさらに拡大すると考えられます。

 また従来からのCPUだけでなく、GPUにも関心が集まっています。連載記事「半導体業界大手・NVIDIA『30年の浮沈』に学ぶ、日本企業のあるべき姿」でも紹介したように、GPUは元来、グラフィック処理のためのプロセッサーですが、単純な計算を大量に高速で行う並列処理に適しており、AIの深層学習に活用されるようになったことで脚光を浴びるようになりました。

NVIDIA一強時代に対抗する
次世代のAIプロセッサー

 NVIDIAが、GPUによる汎用(はんよう)計算のためのプラットフォーム「CUDA」を開発したことが、その後のNVIDIA一強時代を招いたのは、以前の記事でもお伝えした通りです。株価が急騰したNVIDIAは、いまや時価総額1兆ドルを超える企業になりました。2024年2月には一時、Googleの持株会社AlphabetやAmazonを上回り、Microsoft、Appleに次ぐ第3位にランクインしています。

 同社の2024年度第3四半期の財務報告によると、Google、Microsoft、Oracleなどのクラウドサービスをはじめ、IT大手各社がNVIDIAの最新GPUやシステムを競って採用していることがわかります。