日本人と在日外国人の間で強まる不協和音…互いの「生の声」に見るジレンマの実態写真はイメージです Photo:PIXTA

日本で増え続ける外国人は、日本社会にとって今や不可欠な存在だ。近年は人手不足を外国人で補うような動きも顕著だ。しかしそこには不協和音も生じ、日本人も外国人も共にジレンマに陥っているという現実がある。国が掲げる外国人との共生社会の実現はどこへ向かうのか。外国人の声、外国人と関わる日本人の声を集めた。(ジャーナリスト 姫田小夏)

中国人への「名義貸し」摘発

「そういう人なら心当たりありますよ。知り合いの男性だけど、もうおじいちゃんだから、宅建士の免許持っていても使わないでしょ」

 都内のある雑居ビル――。不動産仲介会社を経営したがっている中国人の相談に、自称“何でも屋”の日本人男性が応じていた。高齢を理由に使わなくなった宅地建物取引士の免許を他人に貸す「名義貸し」をしてくれる人を、その中国人は探しているという。明らかに宅建業法違反になる。しかし、これを知ってか知らずか、「中国資本が日本経済を活性化させる」と信じるその日本人男性は“候補者探し”に奔走した。

 それからほどなくして、こんなニュースが報道された。埼玉県朝霞市の中国籍の不動産会社社長が、宅地建物取引士の80代女性の名義を使い、宅建業の免許を不正取得したとして、警視庁に逮捕された、というものだ。

 昨今、“不動産好きな中国人”が数を増す日本で、「宅建免許」は垂涎の的なだけに、今後もこの手の「名義貸し」による逮捕者は続々と出てくる可能性がある。

3カ月の短期滞在ビザでひと稼ぎ

 外国人の中には、犯罪そのものを目的にして来日する外国人もいる。

 2023年4月、知人男性を車に監禁したとして元衆議院議員が逮捕されたが、このとき議員と共に男性を車に押し込んだのが、ウズベキスタン出身の5人の男だった。ウズベキスタン事情に詳しい田中劉生さん(仮名、60代)によると「犯罪に加担するのはウズベキスタンでも貧困地区の出身者で、カネが絡むと何でもするところがある」という。

「彼らが考えるのは『手っ取り早く稼ぐ』ことばかり。しかも1回やって成功しちゃうと味を占めるんですよ。警察はベトナム人に目が向いているから捕まりにくいし…。3カ月の短期滞在ビザでひと稼ぎして帰るっていうのがお決まりのケースですね」

 田中さん本人も彼らとのつきあいには、ほとほと手を焼いているのだが、それでも彼らを“日の当たる世界”に引っ張り上げることを諦めなかった。日本企業への就職の橋渡しも手伝った。

「彼らは時間にルーズで、約束が2時といったら3時になる、『後で行くから』と言えば3時間後にやって来る。せっかく日本企業から声がかかっても、時間管理ができなかったり、うそをついたりするから、結局長続きしないんです」

「それでも…」と、田中さんはこう加えた。

「ウズベキスタン人は危険、とは思わないで。優秀な連中もいるから、なんとかチャンスを与えてほしい」