会計士の出世の「王道」といえば、四大監査法人に就職し、パートナーと呼ばれる経営職階を目指すことにあった。だが今、ベンチャーのCFO(最高財務責任者)など、会計士が活躍できるフィールドが監査法人の外に広がりつつある。イマドキの会計士の理想像とは何か。特集『激動!会計士』(全12回)の#3では、最新の出世と収入事情を探る。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
三大国家資格だが「安泰ではない」?
会計士の知られざる出世競争と収入事情
医師、弁護士、そして公認会計士――。「三大国家資格」といえば、この三つを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。それぞれ最新の統計データを見ると、医師は約32.7万人、弁護士は約4.1万人、公認会計士は約3.2万人が全国に存在している。
会計士には、医師や弁護士と違って、ドラマでよく描かれるような派手さはない。だが会計士は、企業の財務情報の誤りを正すことができる「資本市場の番人」であり、欠かせない職業だ。
会計士試験は、合格までに最低でも1~2年間の勉強を要するといわれている。毎年1万人以上が出願し、合格率は10%程度という狭き門を通過できなければ会計士にはなれない。
しかし、「会計士は安泰だ」という言葉は、会計士の現状を言い表すには不適切だろう。会計士が監査法人に就職すると、過酷な出世競争が待っているからだ。
監査法人に就職した会計士の「誰もが最初は憧れる」(独立した現役会計士)のが、パートナーと呼ばれる経営職階だ。たどり着ければ2000万円以上の高年収も夢ではないが、パートナーになれるのは監査法人全体で1割程度しかいない。
次ページから、パートナーに至るまでのキャリアと想定年収を見ていこう。