誰が氷風呂に入るのか?
ほとんどの人にとって、この「アイスバス」はおすすめと言えます(ただし高齢者、高血圧や疾患のある人などは、避けたほうがいいとされています)。以前は、プロのアスリートやセレブが中心だったのですが、数年前スタント・パフォーマーで「アイスマン」という異名を持つヴィム・ホフ(*1)氏とスタンフォード大学医学部の神経生物学と眼科の准教授であるアンドリュー・ヒューバーマン(*2)氏が、定期的な寒冷体験による生理学的・心理学的なメリットをポッドキャストで発信しました。そのタイミングで冷水に浸かることが、一般的にも広まったとみられています。
そして2019年から2020年にかけてのロックダウン中、個人の健康意識とセルフケアが高まったことで、ジムに通う一般の人々や健康を求める人々向けに、自宅でできる手頃な価格のオプションを提供するブランドが生まれたと推察されています。
アイスバスは身体に良いのか?
幸いなことに冷水が人体に及ぼす影響は、科学的な研究や調査の対象として人気があります。まずは「冷水に入るとどうなるか?」という話から始めましょう。冷たい水は血管収縮を引き起こし、血管を狭めます。そして生命維持の観点から、身体は温かい血液を重要な臓器に送ろうとします。でも、ご心配なく。ここがポイントなのです。
「International Journal of Environmental Research & Public Health(査読付きのオープンアクセス科学ジャーナル)」に掲載された研究論文(*3)によると、「首まで浸かっている間は水自体が静水圧(静止する水の圧力)を発揮し、脳、肺、心臓への血流を促進します。つまり、血液が欲しがる栄養素や酸素へのアクセスが良くなります」ということです。
冷水から上がった際には、血管が拡張し、その豊富な血液が体中に送り返されることが知られています。これについては、アメリカ国立衛生研究所が発表している研究論文(*4)によれば、乳酸や炎症など望ましくないものの除去が促進されることにつながるそうです。これらを総合すれば、「アイスバスは脚を集中して鍛える日によさそう」と考えられます。
運動後の回復だけでは物足りないという人に向けて、さらなる情報を伝えましょう。
定期的にアイスバスに入ることで、免疫システムが強化され、脂肪燃焼が促進され、頭がさえ、肉体的エネルギーが高まるという利点も報告されています。ですが、特にしっかりと研究されて見つかった効果としては、「気分が良くなること」でしょう。 「European Journal of Applied Physiology(国際的な生理学のオンラインジャーナル誌)」の研究論文(*5)によれば 、「冷水に身体を浸すとドーパミンレベルが最大250%増加する」という結果を導き出しています。
これは私たちを安心させることでしょう。