3.11の教訓を能登半島地震の被災地へ、「命をつなぐ」生活支援制度の最新事例3.11から13年目、被災地で今できることとは Photo:JIJI

東日本大震災から13年
いまだに周知されない被災者支援制度

 東日本大震災から13年。この間、日本では地震や水害など大きな災害に数多く見舞われてきた。今年1月1日、最大震度7を観測した能登半島地震は、内閣府によると2月22日時点で死者24人、負傷者1358人、石川県を中心に7万6257棟の住宅被害が確認された。

「初詣のため実家の近くの神社に参拝中でした。建物がミシミシと音が鳴るほど大きく揺れて、慌てて建物から離れました。子どもを守るのに必死でした」

 震災当日の様子をそう振り返るのは、元衆議院議員で現在は東武トップツアーズCDO(最高デジタル責任者)として活動する村井宗明さん。

 村井さんは富山の実家へ帰省中に地震に遭った。そのとき、東日本大震災が発生した2011年3月11日、衆議院災害特別対策委員会委員長として対応に当たったときの光景が脳裏をよぎった。

「東日本大震災発生当時、日本には国の被災者支援制度が100もあり、実は手厚いのにもかかわらず、被災者に情報が行き届かなかったため、多くの人が困難な思いをした。国会議員も自治体職員もすべての制度を熟知しているわけではなかったので、新しい制度を作ろうと無駄な議論が繰り返し行われ、時間の無駄でした。『被災者支援制度』の情報が被災者に届き、早く申請してもらうようにすること。残念ながら13年経った今も、それは課題だと気付かされました」(村井さん)

3.11の教訓を能登半島地震の被災地へ、「命をつなぐ」生活支援制度の最新事例提供:「Nan Naru」社
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 AI技術者としてできることはないか――。同じく富山の実家に帰省中だった知り合いの「Nan Naru」社(東京都文京区)の坪坂有純社長、同社のエンジニアで実弟の暁さんとすぐに連絡を取り合い、被災者支援のAIサービスを作ることで話がまとまった。早速翌日会い、完成されたのがAIチャットボット「バディトーク」だ。

https://nan-naru.com/buddy_talk.html

 今、直面している「困り事」を画面下の「質問を入力」部分に入力すると、約100ある国の被災者支援制度から、該当する制度が一覧される。案内に従って自治体などの窓口に行けば「たらい回し」に遭わなくて済む。

 近年AI技術が進化したことで、1日という迅速なスピードで開発できた。「似たような言葉で検索をかけても同じ制度が引き出せるようになった点が大きい」と村井さんは言う。