価格を抑えた品種・焙煎方法は
コーヒーを不味くする

 当時、アメリカの飲食店でコーヒーが50セント程度で提供されていた理由は、安いロブスタ種のコーヒー豆が使われていたこと。

 そして、焙煎方法を「浅煎り」にしていたことでした。コーヒー豆は焙煎すればするほど水分が蒸発しますから、グラムあたりで販売すると深煎りのコーヒーはコスト高になります。

 当時のアメリカンコーヒーの特徴は安い豆を浅く煎ったもので、だから安いし、だから不味かったのです。

 スタバの成功以降、おいしいコーヒー豆を好む消費者がアメリカでも、そして日本でも増えました。最近ではフレンチローストのような深煎りコーヒーが人気ですし、今ではレギュラーコーヒーを購入する際に、わざわざ「アラビカ種100%」かどうかを確認してから購入する消費者も少なくありません。

 今のZ世代の皆さんは、セブン-イレブンでコーヒーを飲んでも、マクドナルドでコーヒーを飲んでもおいしいことが普通だとお感じだと思います。しかし昭和の時代には日本でも同じ理由でホットコーヒーは今ほどはおいしくなかったのです。