名刺を交換するビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

人とのコミュニケーションにおいて、実はとても重要な「質問力」。これを身に付けることで、相手との距離を縮めたり、相手のやる気を促したりすることができるのだ。質問のプロが最速でマスターできる質問スキルを伝授する。本稿は、桐生 稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

「挨拶と質問」は
必ずセットで行うべし

 スティーブ・ジョブズの師で、グーグルの創業者たちをゼロから育て、アマゾンのジェフ・ベゾスを救い、ユーチューブのCEOを鍛えた、偉大な人物をご存じでしょうか?

 知る人ぞ知る伝説のコーチ、ビル・キャンベルです。このビル・キャンベルが、エレベータで人と会うと必ずやっていたことがあります。

 それは、「質問」です。会った瞬間、名前を呼んで、「調子はどう?何に取り組んでいるの?」と、すぐに質問します。

 なぜなら、彼は質問が人間関係を円滑にすることを知っていたからです。

 質問されれば相手は答えてくれます。そこから何気ない会話が生まれ、相互理解が深まります。

 私がコミュニケーションを専門とするビジネススクールを創業して10年。これまで、延べ10万人の受講生をサポートしてきました。

 その中で間違いなく言えることは、コミュニケーションの達人ほど、相手と会った瞬間、すぐに質問を投げかけるということです。しかも、挨拶と同時に。

「はじめまして。メディア関係の会社にお勤めなんですね。どんなお仕事をされているんですか?」

「よろしくお願いします。連日暑い日ですね。お体にお変わりはありませんか?」

「おはようございます。いつも元気ですね!何か秘訣があるんですか?」

 などと、まるで挨拶とセットで相手よりも先に質問をしています。

 なぜ先に質問するとよいのでしょうか。

 それは、「話しかける」より「話しかけられる」方が人は嬉しいと感じるからです。

 話しかけられるということは、少なからず自分に興味を持ってくれている証。一流はそれをよく理解しています。だから相手が喜ぶことを先にやるのです。

 一流は、常にコミュニケーションのベースを相手に置いています。

 ですから、まず、「挨拶+質問」の公式をマスターしましょう。そしてさっそく実践してみてください。

 職場なら、

「○○さん、おはようございます」+「昨日は遅かったようですね?」

 お客様の会社を訪問したら、

「よろしくお願いします」+「あれ、入り口の雰囲気変えました?」

 お友達に会ったら、

「久しぶりだね!」+「元気だった?」

 そうすることで、あなたのペースで会話が進み、相手も快く話してくれるはずです。