しかもピーチは今作で人魚に変身するし、氷の上をフィギュアスケーターになって舞う。ディズニーで人魚姫といえばアリエルであり、氷といえばアナ雪である。
つまり、ピーチ姫がディズニープリンセスのふんどしを借りて相撲を取っている……というと聞こえがはなはだ悪いが、その類のことが行われている。
もっとも、アリエルもアナ雪もディズニーが構築してきた人気によって固有名詞が一般名詞化するほど世界に広く浸透しているので、「ピーチ(任天堂)がディズニーをパクった……」とモヤモヤされるのでなく、「ピーチが女の子の憧れの主要どころ・人魚姫とアナ雪を演じた」と捉えられる向きが多いはずである。
ピーチ姫の人気の理由
これから人気を博すであろう見通しも
ピーチ姫は当初クッパにさらわれるだけの舞台装置的な立ち位置だったが、いつの頃からかマリオと一緒に冒険をする、プレーヤーが操作可能なキャラクターとなり、活発な印象を強めていった。
極めつけは昨年4月に公開(日本)された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(以下「マリオ映画」)である。この映画でピーチ姫の人気はさらに一時的に高まり、そのタイミングでゲーム『プリンセスピーチ』がリリースされた。この畳み掛け方はお見事であろう。
そして『プリンセスピーチ』をプレイしたユーザーは、おそらくかなり高い割合でピーチの支持者となる。これには「ゲーム体験」と「ピーチの描かれ方」が関係している。
ゲームとは、基本的にプレーヤーがゲーム内の主人公を自分の分身として操作して進めるものである。その前提があるのでするうちにプレーヤーは主人公キャラにやがて自己投影を始め、ゲームをクリアする頃にはその主人公キャラのファンか、あるいは主人公のことを「冒険を共にした相棒」くらいに感じるようになる。ゲーム体験にはえてしてプレーヤーが主人公キャラに自己投影する性質がある。