これを踏まえれば、「みんなへのお土産にもらったお菓子、ひとり占めして自分だけで食べちゃおう」という人は「セルフィッシュ」であり、「それはみんなにもらったものだから、わたしにも一個ください」という人は「アサーティブ」ということになりますね。この二つは、他者を省みず自己の利益だけを主張するのか、他者の利益も認めたうえで自己のいい分も主張するのかという点で、まったく別物です。
でも日本語ではこれが混同され、「強く主張すること」が十把一絡げに「わがまま」とされてしまうところがあります。「わがままはやめて」とだれかにいわれたら、どのような言動が「わがまま」とされているのか、それは「セルフィッシュ」なのか「アサーティブ」なのかを考えて、意味を分節化してみるといいかもしれません。
貴戸理恵 著