「有権者は減税を求めていなかった」と言いたいのではありません。「支え合いの社会」をうたう政党が、有権者の歓心を買おうとして減税を口にしたことの矛盾を、有権者は敏感に感じ取ったのだと思います。

 国民民主党の大半の議員との合流(2020年)までは、立憲民主党は党の主体性を相当程度維持し「政党間の合従連衡ではない」党勢拡大に、かなり成功していました。しかしその先、つまり、他の野党と連携して「大きな構え」をつくるという最後の段階で、立憲は間違えてしまったのではないでしょうか。党の主体性が失われた、つまり「旗印」が揺らぐ結果を招いたのです。

 他党との連携、すなわち「選挙区の候補者一本化」は、政権選択選挙に持ち込むためには死活的に重要なことです。当時の枝野氏に、ほかに取り得る選択肢がなかったことも理解できます。しかし立憲はこの時、枝野氏の言葉を借りるなら「許される妥協の幅を超えて(野党各党が)合従連衡していたと、多くの有権者に思われて」しまったように思われてなりません。

 立憲民主党に「本気で政権を担う覚悟」があるのかどうかが疑われてしまった。そのことが、直前まで各種選挙に勝ち続け「押し気味」に戦っていた立憲民主党が、最後の最後で勝ちきれなかった理由の一つだったのではないでしょうか。少なくとも当時喧伝された「批判ばかりしていたから負けた」とか「共産党と選挙協力したから負けた」に比べれば、こちらの方がより本質的な「敗因」だったと思うのですが、いかがでしょうか。