長野県の地方銀行、八十二銀行が6月に開く予定の株主総会で、海外業務を手掛ける「国際統一基準行」の資格返上を求める株主提案が初めて出されたことが17日、分かった。国際統一基準行であるが故に八十二銀行のPBR(株価純資産倍率)が低迷していると株主側は問題視しており、PBRが低い他の国際統一基準行に影響が広がる可能性もある。(ダイヤモンド編集部 重石岳史、永吉泰貴)
高い自己資本比率を求められる
国際統一基準行は「格上」か?
預金を取り扱う銀行は、損失が発生した場合に備え、一定水準の自己資本の保有が求められている。その自己資本比率規制には、国際統一基準と国内基準の2種類があり、前者は海外に営業拠点を持つ銀行(国際統一基準行)に適用され、後者は海外に営業拠点を持たない銀行(国内基準行)に適用される。
国際統一基準行の達成すべき自己資本比率は8%以上、一方で国内基準行は4%以上だ。国際統一基準は各国の金融当局や中央銀行が参加するバーゼル銀行監督委員会で定められ、より健全性が高い国際統一基準行は、業界では「格上」と見られがちである。
それの一体何が問題なのか。今回の株主提案は、八十二銀行だけの問題にとどまらず、地銀業界の「見栄とプライド」の慣習に一石を投じることになる。さらに国際統一基準行の地銀は10行存在するが、他の地銀にも影響が及ぶ可能性は高い。
他に狙われる地銀はどこか――。次ページで詳細を明らかにする。