ジャイアントパンダの双子、シャオシャオとレイレイが人気の東京・上野動物園で、モノレールに代わる新しい乗り物が、泉陽興業(大阪府大阪市)と東京大学が共同開発する「エコライド」であると判明した。ライバルを押しのけて選ばれた理由は何だったのか。(乗り物ライター 宮武和多哉)
上野動物園に導入決定!
「エコライド」と判明
上野動物園(東京都台東区)で長らく運行してきたモノレールに代わる、新しい乗り物が決定した。詳細は発表されていないが、都の資料に記載された「ジェットコースターと同様の構造」「位置エネルギーを利用して走行する省エネシステム」という文言やイメージ図の仕様から、泉陽興業(大阪府大阪市)と東京大学が共同で開発を進める「エコライド」であることが、明らかになった。
エコライドは、車両を高い場所にワイヤで引き上げ、そこから惰性に従って線路上を降りる仕組み。降下は電力を消費しないという省エネ仕様がセールスポイントだ。
高低差=位置エネルギーを動力とする原理はジェットコースターと同様だが、遊園地のように急降下・猛スピードでドキドキ、ハラハラさせるものではなく、交通機関として妥当な時速20~30キロでの走行を想定しているという。
実は、エコライドは国内外からさまざまなアプローチがあったものの長らく実用化できず、実験線が撤去の憂き目に遭ってもいる。なぜ今回、エコライドが、モノレールに替わる上野動物園の乗り物に選定されたのだろうか。
上野動物園の新しい乗り物に関する公募では6項目を基準にした審査が行われ、対象3社(3陣営)のうち泉陽興業のエコライドは780点満点中541点を獲得した。利便性や安全性などの項目でトップの評価を得ている。
一方、審査の詳細は明らかにされていないが、自走式ロープウェー「Zippar」の開発を手掛けるZip Infrastructure(神奈川県秦野市)の須知高匡社長は、「上野案件を取れなかった」と明かしている。
残り1社は、長崎県の稲佐山や北海道のルスツ、東京都の飛鳥山公園など国内100カ所以上で導入されている「スロープカー」を開発する嘉穂製作所(福岡県飯塚市)とこの記事では推測した上で、3社(3陣営)の乗り物を比較分析してみよう。