モノレール利用者は年間100万人
2000万円程度の利益を上げていた
まず、上野動物園のモノレールの歴史を簡単にたどることにしよう。正式名称は「東京都交通局・上野懸垂線」といい、1957年12月に開業した。動物園は広く東園と西園に分かれており、一般道(動物園通り)をまたぐ必要があるため、モノレールは関連の法令を踏まえた鉄道として建設された経緯がある。
このモノレールは日本車輛製造が開発した「上野方式」とも呼ばれる懸垂式モノレールで、動物園内で開業した当初は、都内で別のモノレールを建設するための実証実験も兼ねていた。しかし、結果的にどこにも採用されず、当初の役目を終えたことから何度も廃止が検討されてきた(ちなみに、神奈川県の湘南を走る懸垂式モノレールは三菱重工業による別方式)。
営業面でのポイントは、年間約100万人に利用され、2000万円程度の利益を上げていたことだ。しかし、2019年に車体の老朽化を理由に休止され、23年に廃止が決定した。そして都は、モノレールに代わる新しい交通機関を導入しようと公募を行った。
新設されるエコライドに期待されているのは、園内の移動手段として安心・安全であることはもちろん、「乗って楽しい」だったり、ローコストで運営するための技術も求められているだろう。加えて、「新しい交通機関の社会実験」としての役割があるとも想定される。