実用化への切符は少ないものの…
メリット多く期待の「中量輸送」乗り物

 都市部の鉄道ほど輸送量を必要としない「中量輸送」と呼ばれる交通機関は、いわば「クルマだと渋滞するけど、多大な予算で地下鉄・鉄道を敷設するほどでもない」という地域のために存在する。エコライドやZipparは、モノレールや通常の鉄道より格安(おおむね5分の1程度)で敷設できて、環境に優しく無人運転が可能なフォーマットとして、全国各地から問い合わせが相次いでいるという。

 同様の乗り物としては東京都の「ゆりかもめ」や神奈川県の「シーサイドライン」などがあるが、高架の敷設などに多大な費用がかかる。なお、1998年に広島県で第1号路線を開業した「スカイレール」が、福岡市や静岡空港で敷設が検討されたものの実現せず、設備の老朽化により24年4月末で廃止となる。

 今般の上野動物園の公募は、意外と多い中量輸送の乗り物による、「天下分け目・鉄道の実用化合戦」だったといっても過言ではない。勝敗は決したものの、それぞれに強みがあり、環状運転ができて短距離ならエコライド、一定以上の長距離で直線が多ければZippar、公園などの敷地内ならスロープカーといったすみ分けが可能だ。それぞれ、今後さらなる普及に期待したい。

エコライドエコライドは位置エネルギーで運転を行う 東京大学と泉陽興業の資料より 拡大画像表示
嘉穂製作所のスロープカー嘉穂製作所のスロープカー。写真は東京・飛鳥山公園の「アスカルゴ」 Photo by W.M.