企業ユーザーからの関心の高まり

 リートンのサービスは、無償提供している個人ユーザー向けサービスが注目されているが、実は企業からの問い合わせも多く、案件ベースでさまざまな提案を行なっているという。

「企業でも基本的なサービスは無料で使っていただいて良いのですが、対価を払って利用したいという声も結構あります。それはやはり、無料だと何となく不安という気持ちもあるからかもしれません。いずれにしても、弊社はChatGPTのようなサービスを直接販売するビジネスではなく、他社さんの技術や検索システムとの組み合わせによってAIエージェント的なものを確立し、そこから利益を上げていくようなビジネスモデルを考えています。そのため、パートナーシップを重視しており、私たちのサービスとの親和性が高いパートナーとの話し合いを多く進めている状況です」(リートン)

 韓国ではすでにこのようなパートナーシップを行い、通販や旅行、美容などさまざまな分野の大手企業20社と連携している。日本の企業からも相談があり、これからのビジネス環境における生成AIの重要性を認識しており、非常に前向きに取り組もうとする姿勢が見て取れるという。現在提供しているサービスの中では、Webのリアルタイム情報と生成AIの回答を融合したAI検索が好評なため、その延長としてユーザーに魅力的な価値を提供できるようなサービスをパートナー企業とともに作っていくことも目標としている。

 今年後半には、複数の生成AIモデルを適切に組み合わせて最適な回答が得られるようにする技術や、画像生成や楽曲生成のために社内で開発中の新たなモデルを実装する計画で、マルチプラットフォーマーとして利便性をさらに高めていく予定だ。

企業内の課題に対するソリューションを生成AIとの対話によって作り上げていく、AIエージェントとのやり取りの例(c)wrtn企業内の課題に対するソリューションを生成AIとの対話によって作り上げていく、AIエージェントとのやり取りの例(c)wrtn 拡大画像表示

プロンプトソンと教育分野への応用

 リートンでは、ローコードまたはノーコードでAIアプリケーションを作成できる「リートンスタジオ」というサービスも提供している。ここで作成されたAIアプリケーションはオンラインで利用できるようになり、API経由で企業のシステムなどに組み込むことも可能だ。

 日韓の教育機関との連携も積極的に進めており、この「リートンスタジオ」を使った「プロンプトソン」と呼ばれる4時間のワークショップも開催している。日本では、日本大学芸術学部、および、千葉工大の学生を対象にしたものが今年1月に行われ、教員を含めて合計55名が「ボイスドラマ台本作成ツール」や「スキマ読み小説生成AI」などのカスタムAIツールの作成に取り組んだ。このような活動や、希望する学生にインターンとして働いてもらうことを通じて、リートンでは教育現場でも生成AIを広めるための方法を考えている。

「韓国ではすでに多くの大学と提携して、延世大学(注:ソウルにある有名私立大学)では学生全員にアカウントを提供したりしています。今後、弊社の認知度がさらに上がっていけば、生成AIに関する学校認定制度のようなものも考えられるかもしれません。本社は韓国ですが日本にも拠点があるわけですから、これからも日本のお客様に合わせて改良することも含めて、より多くの方々に使っていただけるようなサービスに成長させていきたいと思っています」(リートン)

日本の大学でも、ローコード/ノーコードでAIアプリケーションを作成できる「リートンスタジオ」を使ったプロンプトソンが開催されている(c)wrtn日本の大学でも、ローコード/ノーコードでAIアプリケーションを作成できる「リートンスタジオ」を使ったプロンプトソンが開催されている(c)wrtn