若い皆さん、外へ出て老人が歩いているのを見てください。顔が前に突き出て、背中が曲がっていて、膝も曲がるという、おじさん歩きの人が非常に多いことが分かります。加齢に伴って姿勢が悪くなります。姿勢を保つ筋肉がなくなってくるから、自然とそういう姿勢になってくるのです。特に姿勢が悪い人は、やはり弱々しいからだをしていることが分かります。

運動をするたくさんのメリット
身体だけでなくメンタルも健康に

 そこで筋肉を保つためにどうしたらいいかというと、運動をしなければいけないのです。加齢に伴って何が変わるか調べたデータがありますが、やはりバランスをとる能力や、敏捷性(びんしょうせい)もなくなってきます。

 そこで、体力を鍛えるにはどれくらい運動したらいいかというときに、基本的に人間はエネルギーをどれくらい使っているかということを、ちょっと覚えておいてください。じっとしていても人間はエネルギーを使っています。例えば、寝ているときに使うエネルギーを1としますと、歩いているときのエネルギーは4くらいです。ジョギングをすると寝ているときの7倍くらいになります。この運動でのエネルギー消費の割合は、大体、頭に入れておいてください。

 走ると、歩くときの2倍くらいエネルギーを使うことになります。階段を上るのは、実は11くらい使います。つまり階段を上るというのは、それだけエネルギーを使う良い運動ということになります。だから学校で4階くらいへは階段で上がりなさいと言われるのは、そういうことなのです。それをずっと続けるだけで、運動しているのと同じことになります。

 他に運動で良いことはないのでしょうか。1つは運動療法といって、運動をすると糖尿病になりにくいことが分かっています。運動をすると、グルコースや脂肪酸の利用が促進され血糖値が低下するのです。ずっと運動を続けることによってインスリン抵抗性が改善します。どういうことかというと、血糖を下げるインスリンの能力が落ちづらくなるということです。