会議で自分の提案を通したいとき、効果バツグンの「裏ワザ」

西沢:ビジネスパーソンにとっては、お客様へのプレゼンのほかに、社内の会議で自分の提案を選んでもらうという機会も多いと思います。そんなときの『選ばれる』ための裏ワザがありましたら教えてください。

井下田:効果バツグンの裏ワザがあります。

西沢:おーっ、ぜひ教えてください!

井下田:ひと言で言えば、会議前のネゴシエーションです。会議では、この人が賛成すれば選ばれるっていうキーパーソンが必ずいますよね。たとえば、そのキーパーソンが部長なら、会議の前に、その部長のところへ行って、こう言うんです。「今日の会議で、こんな提案を通したくて悩んでいるんですが、◯◯部長なら、どうやってこの提案を通しますか?」。

西沢:うわっ、それはすごい。

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井下田:こう言って相談すると、相手は悪い気はしませんから、アドバイスをいただけますし、会議では味方になってくれて、提案が選ばれる確率がグンとアップします。

西沢:それはたしかに効果がありそうです。でもたとえば、キーマンが社長とか、事前に相談に行けないような相手のときはどうしますか?

井下田:会議が始まる直前に、「おはようございます! 今日はこの提案をぜひ認めていただきたいのでよろしくお願いします」と挨拶するだけでも効果があります。

西沢:なるほど。では逆に、キーマンがいなくて、自分の提案に無関心な参加者が多いような会議ならどうしましょう?

井下田:私はそもそも無関心な人は会議に呼ぶべきではないと思っていますが、そういう会議って多いですよね。そのときは、会議が始まって10分以内に、参加者に声を出してもらいます。それこそ、最初にこちらから「皆さん、おはようございます!」と言って挨拶を促してもいいし、声出しが無理なら、「今日の会議では、最低、ここまでは決めたいと思います。賛成の方は挙手をお願いします」と手を挙げてもらってもいい。とにかく、無関心なメンバーに、参加意識を持ってもらって、無責任に否定されるのを避けることが大切です。

西沢:選挙で言えば、浮動票を獲得することが選ばれるコツということですね。

【井下田久幸プロフィール】
ドルフィア株式会社代表取締役。1961年生まれ。青山学院大学理工学部卒業後、日本IBMに入社。38歳のときに社員数16人のITベンチャーに志願し転職。ほどなく倒産の危機に直面し、マーケティング部長の傍ら営業支援SEとして現場に入る。以来、足かけ4年にわたりマイクロソフトなど名だたる競合を相手に、コンペ300戦無敗という結果を残す。その後、東証一部上場企業JBCCにて執行役員、さらに先進技術研究所を設立し、初代所長となる。55歳で独立し、現職に。著書に『理系の仕事術』(かんき出版)。
【聞き手:西沢泰生プロフィール】
ブックライター・書籍プロデューサー。主な著書『一流は何を考えているのか』(学研)、『夜、眠る前に読むと心が「ほっ」とする50の物語』(三笠書房)、『コーヒーと楽しむ 心が「ホッと」温まる50の物語』(PHP文庫)他

AERA dot.より転載