認可のプロセスで変わる
効果や安全性への信頼性

 健康になりたいと思って摂取したもので、健康を害してしまっては元も子もない。問題となっている小林製薬の紅麹を使ったサプリメントには、「機能性表示食品」の認定がついていた。

 こうした食品の機能や効能を表示することができるサプリや食品は「保健機能食品」と呼ばれ、消費者が商品を選ぶ際の参考になっている。しかし、紅麹問題を受けてその信頼性は大きく毀損されてしまった。

「機能性表示食品」の他にも「特定保健用食品」などがあるが、これら保健機能食品は、それぞれどう違うのか説明したい。

「特定保健用食品」は「トクホ」の略称で耳馴染みがある人も多いだろう。安全性及び健康の維持増進に役立つ効果について国が審査し、消費者庁長官が保健機能の表示を許可している食品で、いわば、厳しい検査をクリアして国のお墨付きを得ている商品を指す。

 また、有効性の証明として、査読付きの研究雑誌に掲載されることが条件となっていたり、定められた試験機関によって関与成分の含有量の分析試験も行われている。

 一方で、「機能性表示食品」は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた安全性や機能性などの情報を販売前に消費者庁長官に届け出て、機能性を表示した食品を指す。トクホと異なる点は、消費者庁長官の食品ごとに個別の許可は受けていないことだ。ちなみに、今、問題となっている小林製薬の紅麹サプリは『機能性表示食品』に当たる。

「機能性の証明にかかる費用もトクホと比べて抑えることができるので、企業としてはこちらで済ませるほうが経済的に合理的と言えます。したがって、「特定保健用食品」のほうが「機能性表示食品」よりも効果や安全性に対する信頼性が高いと言えます。このように、同じ届け出が必要な保健機能食品でも、認可のプロセスはまったく異なるのです」(石黒医師)

 保健機能食品には、3つ目の分類として「栄養機能食品」がある。食品の中に一定の基準量で、科学的根拠が確認されている栄養成分を含んでいれば、「届け出なし」で機能表示が可能な制度だ。例えば、ビタミンAは上限値が600μg、下限値が231μgの範囲に収まっているならば、次のように栄養成分の機能を表示することが可能となる。

ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です。ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。(出典:消費者庁「知っていますか?栄養機能食品」)

 しかし、同時に下記のような「摂取をする上での注意事項」も併記する必要もある。

本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。妊娠3カ月以内又は妊娠を希望する女性は過剰摂取にならないよう注意してください。(出典:消費者庁「知っていますか?栄養機能食品」)

 その他の健康食品は保健機能食品のように、その機能や効能を商品に表示することはできないことになっている。