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女の子は小さい頃から、社会や両親から“奉仕”するように求められ、協調性を強いられる。しかし、本当は社会や男が求める「完璧な女」になんて、ならなくていいのだ。世界中の女性たちの社会進出を支援しつづける著者が教える“勇気の筋肉”の鍛え方とは。※本稿は、レシュマ・サウジャニ『完璧じゃなくていい、勇気ある女になろう』(海と月社)の一部を抜粋・編集したものです。

周囲を喜ばせるのが
「本当のいい子」なのか?

 多くの女性と同じで、わたしも子どものころから「手伝いをしなさい」「言うことをよく聞きなさい」「自分よりもまず他の人の気持ちを思いやりなさい」と言われてきた。おまけに、16歳になるまでデートはダメと言われていた。メイク禁止、胸の谷間が見えるような服もダメ、門限は午後10時……、わたしはいつも家族の期待に沿って行動した。

 わが家はインドの風習に則っているので、目上の人に挨拶をするときは、その人の足に触って敬意を表する。だから、友だちと学校から帰ってきて、どこかのおばさんが家にきてお茶をしていたら、友だちの前でたまらなく恥ずかしくても、おばさんの足にちゃんと触った。

 両親の面目を失わせるようなことは夢にもしようと思わなかった。

 親戚みんなで食事をするとき、支度や片付けを手伝うのは姉とわたしだった。いとこの男の子たちはどうして誰も手伝えと言われないの?なんて考えもしなかった。それに、本当は友だちと外で遊びたいのに、いつもとなりの家の(わがままな)子どもたちの面倒をみていた。わたしだけでなく、同じ年くらいの女の子はみんな、そんなふうだった。

 すべては、完璧な娘、完璧な恋人、完璧な従業員、完璧な母親になるためのステップだった。わたしも友だちもみんな、素直な女の子から素直な女性になることを期待され、そのあともずっと、自分の存在価値を他の人に証明しつづけなくちゃいけなかった。自分の感情を抑え、周囲に合わせ、愛想よくふるまうことで。

 女の子の「人を喜ばせたい」という思いがいかに強いかを示した実験がある。ABCニュースが、カリフォルニア大学の心理学者キャンベル・リーパーに協力してもらい、男の子と女の子それぞれのグループに、(砂糖のかわりに塩を加えた)恐ろしい味のレモネードを飲んでもらって感想を聞いた。すると、男の子たちは口をつけたとたんに「ウッヘー……激マズ!」と言った。ところが女の子たちは揃いも揃って笑顔を崩さず、しっかりと飲みさえした。どうしてまずいと言わなかったのか?実験者が何度も尋ねてようやく教えてもらった答えは「実験者の気分を害したくなかったから」だった。

 女の子はこんなふうに、人を喜ばせるために「正しい」答えを探しがちだ。先生/親/友だち/彼が望んでいるように答えるべきか、それとも本心をはっきり言うべきかと考えた末、たいていは相手が気に入りそうな答えを選ぶのだ。