男子よりも女子のほうが
圧倒的に“協調性”を重視する理由

 そのうえ、女の子は何か頼みごとをされると、男の子よりもはるかに高い確率でイエスと言う。本当はノーと言いたいとき(さらには言うべきとき)でも。女の子にとって“協調性”はものすごく大事。「本当はやりたくなかったり、やる時間がないのに、友だちから頼みごとをされたらどうする?」。そう聞けば、ほぼすべての子が、とりあえずは引き受けると答えるだろう。

 14歳になるそばかす顔のハリーはその理由について、「あったりまえ」というように肩をすくめながら、見事に答えてくれた。「友だちからヤな女って思われたい子なんかいるわけないって。そんな子、ひとりもいないよ」

 イエスと言わなければいけない、というプレッシャーは、成長するにつれて強くなっていく。弁護士として長時間働いているダイナも、息子のクラスの保護者代表になることに同意し、あとで後悔した。多くの女性が、他の人のために自分の時間を使い、心を配り、ときにはお金すら注ぎこんでいる。それもひとえに、他の人の気持ちを傷つけたくない、と思うからだ(本音は、他の人から悪く思われたくないからだけど)。

 いっぽう男性は、子どもも大人も、そんなふうに感じることがあまりない。衣料品店の店長を務める44歳のジャネットは、建設業者の夫が送る仕事のメールを読むたびに、率直で味気ない文面に不安を覚えるという。要件や見解や批判を伝えるだけで、あいさつの言葉はなし。「よろしくお願いします」や「ありがとう」すらなし。以前、仕事相手に出すメールは、相手の気分を害さないようにもう少し柔らかい表現にしたら、と言ってみたが、夫の返事は「好かれるのは俺の仕事じゃない。言いたいことをちゃんと伝えるのが仕事だ」だった。

 ジャネットが上司や同僚へメールを送るときはいつも、親しみのこもった時候の挨拶や感謝の言葉をちりばめ、笑顔の絵文字を入れることさえある。どのメールも、最低でも3回は読み直してからやっと送信ボタンをクリックする。「夫はそんなわたしを神経質だって思ってる。慎重なだけだと思うんだけど……。いや、ホントのところ、そこまで気をつかうのは、相手に嫌な思いをさせたり、気分を害されたりしたくないからなんだけど」