中国・ロシア・北朝鮮は世界有数の危険国家。彼らと接する日本の安全保障環境は、最悪と言っていいだろう。仮想敵の兵器に対抗できるだけの装備を、日本は早急に整える必要がある。※本稿は、眞 淳平『ニッポンの数字――「危機」と「希望」を考える』(ちくまプリマー新書、筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
中国・ロシア・北朝鮮の脅威に対して
日本の防衛予算は足りているのか
2023年度の防衛関連予算は、22年度比で26%増の、6兆8000億円強。
「新技術・兵器」の研究・開発費は、契約額ベースで、22年度の約3倍に当たる9000億円、となっています。
その一部は、「極超音速ミサイル」を始めとする、各種の反撃用ミサイルの研究・開発。日本を攻撃してきた弾道ミサイルや巡航ミサイルを撃ち落とす「迎撃ミサイル」の配備。「次期戦闘機」の英国・イタリアとの共同開発、などに使われます。
最新技術を使った兵器に関しては、(1)「高出力レーザー」「高出力マイクロ波」によって、ミサイル等を撃ち落とす技術の研究(45億円)。(2)電磁波で砲弾を高速で飛ばす「レールガン」の研究(160億円。ただし発射には、大量の電力を使うため、実現可能性は不明。米軍は22年度に開発を中止)。(3)「無人戦闘車両システム」の研究(68億円)、(4)「UUV」(無人水中航走体:Unmanned Undersea Vehicle)の管制技術に関する研究(262億円)。(5)「群目標」への対処法の研究(53億円)などが入ったこと、が注目されています。
(5)の群目標は、多数の機体がAI(人工知能)によって一体化し、敵を攻撃するドローン、などを意味しています。ドローンが、爆弾を積み、敵方の部隊に次々と突っ込んでいくのが、群目標です。
中国やロシア、米国などは、巨額の予算を投じて、こうした兵器を開発しています。日本も、不安定な東アジアの安全保障環境の中で、同領域に足を踏み入れたのです。
被害を受ける前にこちらから
サイバー攻撃を仕掛ける
近年の安全保障の分野は、従来の陸、海洋、空だけにとどまりません。
「サイバー空間」「宇宙空間」。この領域では、ロシアがウクライナに対してサイバー攻撃を仕掛け、北朝鮮は7000人規模、中国は約17.5万人と推定される、巨大なサイバー部隊を保有・運営しています。そこで防衛省も、890人前後いる自衛隊のサイバー関連要員を、27年度までに4000人程度に増員することを決めています。