「これじゃあ、ダメだ」。

 そのときに気がつきました。年をとればとるほど、素直じゃなきゃいけないのだと。ただでさえ、どんどん頭が固くなっていく年齢ですから、他人の意見や提案に「ハイ!」と言って素直に耳を傾けないと、自分が知りたいことや新しい情報がいっさい入ってこなくなる。私も気をつけなきゃいけないなって。

 対照的に、最近、「かっこいい」と思ったのがプロ野球のダルビッシュ有選手です。今年で 37歳になる彼は『侍ジャパン』のなかでは最年長。長年、メジャーリーグで活躍してきた輝かしいキャリアの持ち主です。なのに、自分のキャリアをひけらかすことなく若い選手たちと一緒にトレーニングに励み、自分より年下のピッチャーに、「君の変化球は、どうやって投げているの?」と、素直に質問を投げかけていたと聞きました。そのフラットな姿勢、本当に素敵です。「私もかくありたい」と思います。

60代はさらに自由に
70代はさらにとんがる!

 もう一度、前を向けるようになったとき、これからの人生をもっと楽しく生きていくにはどうすればいいのかと考えました。そして、それには、やっぱり服の力を借りるのがいちばんだと気がついたのです。

 30~40代でコーディネートの基礎を学び、50代のときは個性的なデザインの服を着ていたこともありました。ベーシックな服からアーティスティックな服まで一通り経験したので、だったら60代からは自分が好きな服だけを自由に着ていこうと決めました。バラエティ番組のスタイリングに携わり、「派手な服なら、西ゆり子」と言われたときの感覚を思い出し、「目立って、なんぼ」の服を着ることを存分に楽しんでいこうって。

 そして、70代からはさらにとんがる! 夫を亡くして一人になった私の心の奥から、「一度きりの人生。やらずに悔やむより、やりたいことはどんどんやっちゃえ!」という声が聞こえてきました。この年齢になったら、どんな服を着ようと周囲は大目に見てくれます。花柄のワンピースだろうが、ヒラヒラのフリルがついたブラウスだろうが、裸で道を歩かない限り、他人に迷惑をかけることもないですからね。