この中で、特に注意していただきたいのが、upsetです。upsetは英単語集だと「動揺している」と書いてあることが多いのですが、文脈によって意味が変わります。英英辞典のOxford Advanced Learner’s Dictionary(英語を英語で定義している辞典)を見ると、“unhappy or disappointed because of something unpleasant that has happened”(何か不愉快なことが起こってしまったので、悲しく思うあるいはがっかりしている)とあります。例えば、自分が一生懸命仕事をしたのに、上司からイマイチ評価されなかった時に感じる「怒りとモヤモヤ」が入り混じったような感情、それがupsetです。
ここでWhy were you so upset? と聞くと、やや強い聞き方である印象を与えます。特に相手にとって耳の痛いことやマイナスのことを聞く時にwhyを使うと、やや「問い詰められている」と感じさせてしまいます。What made you so upset? の方が冷静な聞き方になり、丁寧な印象を持ってもらえるのです。
「~と思った」と言いたい時には
findを使いこなそう
基本動詞の観察力を磨くと、英語の会話力が向上します。第5文型のmakeと双璧になるのがfindです。make O Cが「OをCにする」を得意にするのに対して、find O Cは「OをCと思う」と感想を伝える時に役立ちます。人の印象を語る時にサッと第5文型が使えると表現しやすいです。
「私は彼のことを魅力的だと思いました」。この文章を、think/thoughtを使わずに英語にしてみてください。
私は彼のことを魅力的だと思いました。
役に立つのが、オバマ前大統のFirst Lady(アメリカ大統領夫人)であるミシェル夫人が使った英語です。かつてオバマ前大統領の印象を聞かれた時、ミシェル夫人は次のように答えました。
私は彼のことを想像しうる全ての面において魅力的だと思いました。
「him=intriguing」の関係になっており、これはI thought he was intriguing.に比べてシンプルな表現と言えます。thoughtを使う時は「時制の一致」というルールが起こるため、意外と日本の英語学習者は話している際に気にしてしまいます。そこで、なるべくシンプルな表現を使いこなす方が、英語表現がいざという時の相棒になるのです。in every way以降は難しいかもしれませんが、「想像し得る全ての面において」はかなり上品な言い回しです。本当に一目会った日から魅力を感じたことが分かる英語で、「何から何まで魅力的でした」と訳してもいいと思います。
私は彼が親しみやすいと思った。
I found her caring and kind.
私は彼女を思いやりがあって、親切だと思った。
全部SVOCの第5文型(find O C型)です。このように、その人の印象をうまく伝えられるようになることで、英会話力が向上していきます。