ソフトバンクモバイルのマーケティング部時代に孫正義氏の助言を受け、さまざまな仕事を「表」にまとめるようになった著者。曰く、経験と直感で体を動かす前に表を完成させておくと、部下や関係者への指示が明確になり、プロジェクトがスムーズに進むという。※本稿は、池田昌人著『仕事は1枚の表にまとめなさい』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。
上司から受けた指示を
「5W1H表」に落とし込む
前回の記事では、上司のI部長から自社商品の体験会プロジェクトを任され、まず初めに作成する「5W1H表(概要書)」と「効果分析表」について解説しました。本稿では、以下の内容を踏まえて、よりシチュエーションに沿った表づくりを進めていきます。
・体験会で商品を体験してもらうだけでなく、それ以外の特別なコンテンツも実施してほしい
・東京以外の主要都市でも展開
・全国で100名以上の体験者を作り、各地で「限定インフルエンサー」の呼称で活動してもらい、商品の差別化や理解促進を進める
・代理店や広告会社などの協力を得ながら、効果的になるべく早く適切な時期にタイミングを逃さず行ってほしい
第1ステップは、与えられた情報を5W1H表に落とし込むことです。
さっそく次のような「ひな型」を用意して、表を埋めていきます。それでは1項目ずつ、何が入るか考えていきましょう。
まず、「Why:目的」。これについてI部長は「各地で『限定インフルエンサー』のような呼称で活動してもらい、商品の差別化や理解促進を進め」るためと言っています。
「年々商品の機能が複雑化し、理解を得にくい状況が色濃くなっている」。
という背景のもと、自社商品を広めてくれるインフルエンサーの育成を通じた新商品の理解促進をはかること。そして、広報活動によって、自社製品の差別化ポイントへの理解を周知すること。この2つを通して新商品そのものの販売を拡大したい、というのが目的といえます。
次に「What:概要」です。これに関してI部長は、「商品理解とインフルエンサーを同時に構築していくために、先行商品体験会を設けて展開する」
と言っています。つまり、目指しているのは、今回きりの体験会の開催ではなく、今後も見据えた広報活動の一環としての体験会の開催ということです。
そこでここでは、具体的な指示内容である「体験会」だけでなく、今後も見据えた広報活動の一環という側面、つまり「広報活動」そのものも記入しておきましょう。
続けて、「Who:関係者」です。I部長は「体験者を100名以上」「インフルエンサー」と言っています。
また、「代理店や広告会社などの協力を得ながら」とありますので、それも書き出しておきましょう。
4つめは、「Where:場所」です。これに関してI部長は「全国で」「東京だけでなく、主要都市で」と言っています。