その理由は、私たちは何か情報を得ると、つい動き出そうとしてしまいがちだからです。
実際、それなりに経験を積んでいる人であれば、曖昧だったり情報が不足していたりしても、ある程度「進めること」だけはできてしまいます。
それで今、手元にある情報だけで物事を進めて、不明点にぶつかったときに逐一確認をとったり、あるいは勝手な判断や思い込みだけで決めてしまったりするのです。
逐一確認をとっていれば、その都度、関係者とのやりとりが必要で、そのために時間もかかってしまいます。
あるいは、勝手な判断や思い込みで進めてしまっているケースでは、自分自身は「勝手に判断している」「自分で決めつけている」という自覚がないことさえあります。
そのため、本来指示された範囲を超えて進めてしまって、しかもそれが見当違いだったりして、一度進めたところから大きく戻ってやり直すことになりがちです。
こうして、時間や労力がどんどん浪費されていってしまうのです。
そうした事態に陥らないよう、指示を受けたら5W1Hを表にして、不明点や懸念点を洗い出すことが必要です。一覧表にすれば、「提示されている情報に不足があるか・ないか」という視点が働きます。
池田昌人 著
この、「提示されている情報に不足があるか・ないか」という視点は、今回のように「指示を踏まえて企画を立てる」という状況だけでなく、単純作業を指示されて行うといったシンプルなケースでも非常に有用です。
「すでに決まっていること」「指示している人が想定していること」と、「わからないこと」「確認が必要なこと」「まだ決まっていないこと」「これから自分で提案する必要のあること」をはっきり区別すること。
これは、仕事をスピーディに効率よく、かつ求められるレベルを超えて進めていくためには必須のプロセスなのです。