部下や関係者に、書いてあることをそのまま伝えたとして、相手がすぐに動き出せる(=何をすればいいかわかる)のが「はっきりしていること」、それ以外は「曖昧なこと」です。

表の中の「曖昧な情報」は
一つひとつブラッシュアップ

 例えば「Where:場所」を見てみましょう。

 ここに書かれている「東京」は、「東京のどこ」でしょうか?また、主要都市といっても、「東京・大阪・名古屋」と捉える人もいれば、「東京・大阪・名古屋」に「福岡・札幌」を入れて捉える人もいるでしょう。

「東京・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸」「東京・札幌・仙台・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇」などの捉え方もできます。

 この指示では、そもそものエリアも、何カ所程度が適当なのかもわかりません。

「When:時期」についても同様です。先ほどの表には、「なるべく早く」との発言がそのまま記載されています。しかし、この内容を指示されたとき、部下や関係者は予定表に何かを書き込むことができるでしょうか?

 このようにして整理していくと、I部長からの指示は口頭であれこれ細かく言われたようでありながら、実ははっきりとした情報がほとんどなかったことがわかります。

 そうなのです。仕事で受ける指示の多くには、このような「足りない情報」「曖昧な情報」が含まれています。そうした情報を、実際に動き出す前に、表で把握することが重要なのです。

 なぜこうした情報の整理を「表で」行う必要があるのでしょうか。

 今回のI部長の指示は、どう見ても曖昧で、情報が足りていません。こうした指示であれば、「これまで仕事では表を使ったことはない」という方でも、情報が足りないことに気づくはずです。となれば、

「曖昧な情報や足りない情報を把握するために、わざわざ表にする必要はないのでは?」

 と思われる方もいるかもしれません。しかし、それは違います。

 あえて一覧表にして、視覚化するということが、実はとても大切です。