研修転移のためには“フォロー研修”が欠かせない
研修転移のためには、研修講師と受講者だけではなく、人事(研修)担当者や受講者のマネジャー(上司・管理職)の働きが重要なのだ。「研修前」は、講師が現場を知ることや受講者とマネジャー(上司・管理職)の関わり合いが大切なようだが、「研修後」はどうだろう?
関根 研修後は、受講者の具体的な課題を見つけるための“フォロー研修”が重要です。ひとつの研修につき、少なくとも1回以上のフォロー研修を行い、研修転移を促すようにします。研修の数が増えるぶん、人事(研修)担当者の負担も増えるかもしれませんが、コロナ禍を経て、オンラインでの研修が定着したため、以前に比べてフォロー研修が実施しやすくなりました。最初の研修はリアルで行い、フォロー研修はオンラインで行うという方法が多いです。最初の研修から3ヵ月後くらいを目安にオンラインでフォロー研修を行い、「研修では○○○○を学びましたが、日常の仕事で実践していますか?」と確認したり、受講者同士で意見交換したりします。オンラインなら、チャットの活用などで、生の声がどんどん集まってくるはずです。
研修転移を促すためのフォロー研修は、オンラインでの実施によって、ハードルが下がっていく。ウィズコロナの時代、関根さんは、「研修転移がしやすくなった」と明言する。
関根 そもそも、研修は、1回だけだとどうしても「やりっぱなし」になってしまいがちです。最初の研修をリアルではなく、オンラインで複数回にわたって細切れに行うのも手段のひとつでしょう。
いま、私がお手伝いをしている、あるOJT研修は、半年の間、月1回のミーティング形式で行っています。半年もの時間をかけるのは、研修転移を確実に行うためです。6回の研修のうち、最初と最後だけはリアルで集まりますが、残りの4回はオンラインでの、1回3時間くらいのミーティングです。オンラインでの研修が一般的ではなかったコロナ禍前は、1回集まったら終わりで、そのあとの働きかけもしづらかったのですが、半年間、顔を合わせることができるので、研修転移の状況をしっかり把握することができます。