研修受講者たちが“再会”して得られることは……
複数回にわたるフォロー研修では、研修転移を受講者にどのように促していくのだろうか? 関根さんに、もう少し詳しく伺った。
関根 研修転移のフローは、「PDCA」サイクルです。研修で学んだことが「P(Plan)」とすれば、次に、それを実行する「D(Do)」があるわけですが、1回きりの研修だと、「D」は本人次第で、「C(Check)」も「A(Action)」も、あまり期待できません。しかし、フォロー研修を数ヵ月に1回行えば、客観的に「D」の確認ができます。「研修で学んだことを実践していますか?」と、人事(研修)担当者や講師が受講者に問いかけて、実践できているなら「さらに続けてください」、実践できていなかったら「○○○○をやってみたらどうですか?」と、次のアクションを促します。フォロー研修が「C」と「A」を回していく場となるのです。
転移そのものは、研修の場ではなく、現場で、しかも、本人にしかできません。人事(研修)担当者や職場の上司など、外部の働きかけも大切ですが、何よりも、本人がやる気にならない限り、転移は進みません。学術用語では「自己効力感」と呼ぶのですが、学んだことを「実践できる!」と思えれば、実践につながる可能性が高まるといったデータもあります。
PDCAを回し、アクションプランを立てていくことで研修転移が行われ、自己効力感も高まるという。また、「受講者同士が集まるフォロー研修だからこそ得られる学びもある」と、関根さんは解説する。
関根 たとえば、最初のリアル研修で20人が集まったとしたら、次はオンラインで、また同じ20人が集まるようにします。そして、「学んだことを実践しているかどうか?」を「はい」「いいえ」の二択で受講者がチャットで答え、20人中何人が実践できているかをみんなで把握します。さらに、研修での学びを実践するために自分が苦労したことや工夫したことを挙げていき、それもみんなで共有していきます。他者の意見や行いが大きなヒントとなって、自分の気づきにつながるわけです。こうしたかたちのフォロー研修なら、外部の講師に頼らずに、人事(研修)担当者がファシリテートすることも可能でしょう。チャットで出た意見を受講者同士で議論していくことにも価値があります。他者の言動から「自分もやってみよう!」という意欲を持つ人が多いようです。