「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在15,000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は、自力整体の考案者であり、50年近く鍼灸師・整体治療家・ヨガ講師としても活動されてきた矢上裕さん(矢上真理恵さんのお父様)もお迎えし、東洋医学の視点から、初夏に出やすい不調の解決法を数回にわたりお届けします。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが指南】「なんだか眠れない…」と感じる人に足りない「朝の習慣」

雨季は関節や筋肉を積極的に動かして

――6月は低気圧や湿気で熟睡できず「よく眠れない…」「寝ても疲れがとれない」と感じる人は多いはず。東洋医学の視点で予防・対処法を教えてください。

矢上裕(以下「裕」):この時期は寒暖差が激しく、自律神経が乱れやすいんですね。体内時計のリズムも乱れがちです。ほかにも暑さによる脱水症状、湿気による水毒症状(余分な水分が体にたまり悪さをおこす)も出やすい時期です。おもに不眠、頭痛、めまい、耳鳴り、むくみ、冷え、腰痛、ひざ痛の患者さんが増えます。

東洋医学では「気・血・水」の三本柱が私たちの健康を支えていると言われていますが、とくに汗の蒸発にしにくい雨季は、体に「水」がたまりやすく、冷えから眠りの質も悪くなります。

座りっぱなしの仕事や、運動習慣のない人ほど水はたまりやすいので、とにかく積極的に筋肉や関節を動かして、流れをよくしておきましょう

体内時計のリズムも整える「朝一杯の味噌汁」

――目覚めが悪い、だるい、疲れがとれない人へ、アドバイスをお願いします。

裕:甘いパン、甘いシリアル、フルーツ、白米のおにぎりだけといった朝食習慣の人は、体を冷やしやすく、また血糖値も上がりやすいので、雨季はとくに疲れが出やすいはず。
糖質ばかりではなく、少し塩っけのあるものをプラスして、体温を上げる工夫が必要です。

おすすめは「朝一杯の味噌汁」です。活力がわき、初夏のバテにもおすすめです。
朝の味噌汁がおいしいと感じるのは、寝ている間の脱水でミネラル不足になっているからなんですね。少しの塩分を体に入れると、頭も体もシャキッとします。

よく登山者が塩を携帯して山に登りますよね。ほんの少し塩をなめるだけで疲れがとれて、パワーアップできるからです。塩飴もいいと思います。

朝一杯の味噌汁は、熟睡にも役立ちます。味噌の成分を接種すると夜まで十分なメラトニンが生成され、快眠に役立つとされています。

私たち日本人の歴史は「湿気」との戦いでしたから、「水毒」や「冷え」は大きな悩みでした。それを克服する知恵が味噌や塩といった日本の伝統食なんですね。
和食は梅雨の時期を乗り越える最高の健康法といえるでしょう。

――最後に、真理恵さんの書籍『すぐできる自力整体』から、この時期におすすめのワークをご紹介ください。

矢上真理恵:だるさを解消する「目の刺激」のワークを紹介しましょう。睡眠、覚醒のリズムを整えます。体内時計の乱れを正常にして自律神経のバランスを整えます

【整体プロが指南】「なんだか眠れない…」と感じる人に足りない「朝の習慣」矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗