企業改革の一歩としては
タッチタイピング練習がオススメ

 ここで、ぜひ社員のみなさんに体感していただきたい「小さな成功体験」をご紹介します。それは、パソコン操作です。手元を見ないでキーボードを操作する「タッチタイピング」です。

 職場のIT化は、イコール、パソコンを操作することです。しかし、オフィスワーカーのほとんどは「タッチタイピング」ができません。多くの方は、キーボードを見ながら打っていきますので、間違いがあってもしばらく気がつきません。

 いちばん多いのは、日本語入力と英数字入力を間違えて打ってしまうことです。

「taihennosewaninatteorimasu」と打って初めて画面を見て、「ありゃ」と気づき、そしてせっかく入力した文字を消して、日本語入力に変えて、また打ち始める。こうやってぼう大な時間をムダにしているのです。

 最近流行りの「リスキリング」で、Pythonでプログラムを書く訓練とか、SQLでデータベースからデータをひっぱる訓練を始めた方も少なくありません。また、Web3やメタバースなどといった最先端技術の知見を勉強している方も多いですね。

 ところが、それは「砂上の楼閣」です。地盤がゆるゆるのところに、ぴかぴかの超高層ビルを建てようとしている。

「わが社も早くDXを推進せよ!」などと勇ましい号令をかけるのは、登山の訓練を受けていない見よう見まねの我流素人集団を、けわしい山に挑ませるようなものなのです。

 パソコン操作の基本中の基本であるタッチタイピングが習得できていない以上、頭でわかっていることも、いざパソコンに打ち込もうとなると、ものすごく時間がかかってしまいます。

「オフィスでの働かせ方」に無関心で
社員を放置する会社は、学校未満

 若手社員でもタッチタイピングできない人がたくさんいます。これは学生時代にスマホしか触ってこなかった影響でしょう。

 ところが、「時短にはIT活用が不可欠ですから、その第一歩として、まず社員のみなさんにタッチタイピングを習得してもらいましょう」と提案すると、たいていの経営者さんは反対なさいます。

「会社は学校じゃないんだから、そんな基本的な技術は自分で勉強させますよ!」