「生活は続く」から始まるコメントと共に、毎日のように自炊画像をX(旧Twitter)にアップし続ける謎のインフルエンサー「湯が沸いた(@yugawaita)」氏。彼の投稿には常時数千を超えるリアクションがある。本記事では、『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(キム・ダスル著、岡崎暢子訳)の発売を記念して、謎のベールに包まれた「湯が沸いた」氏の正体に迫った。
「湯が沸いた」はひとり言から
――取材は初めてでしょうか?
湯が沸いた(以下、湯):初めてです。たまにDMで色々いただくんですけど、受けたことはないです。
――早速ですが、「湯が沸いた」さんって何者なのでしょうか?
湯:29歳の会社員です。
――かなりの頻度で自炊をされているので、料理人なのかと思いました。
湯:いや、全く。ただ、業態としてはサービス業に関わっています。
――「湯が沸いた」という名前でX(旧Twitter)のアカウントを解説されたのはどういった経緯だったのでしょうか?
湯:コロナが流行りだしたじゃないですか。サービス業なので、68連休ぐらいあったんです。それまではめちゃくちゃ忙しかったんですが、時間に余裕ができたんで少し広い家に引っ越したんですよ。ずっと家でボーっとして、コーヒーばっかり飲んでて。ケトルでお湯沸かすじゃないですか。カチって鳴ったら「湯が沸いたわ」ってボソっと言っていて。それで「湯が沸いた」っていう。ひとり言ですね。
――68連休! その頃は「人生どうしよう……」といった感じだったのでしょうか。
湯:全然そんなことはなく。会社員なんでお給料は振り込まれていて、だから特に焦りとかはなかったです。ただ、もう本当に暇だな、みたいな。
自炊は“嫌いじゃない”
――暇な時間は何をやっていたんでしょうか。
湯:元々、会社の近くに住んでで。その時は冷蔵庫もないし、炊飯器もないし、食器もお箸とかも部屋になかったんです。オール外食みたいな。でもコロナ禍になって広い部屋に引っ越して、そこで自炊しようみたいな。
――自炊の写真がいつも魅力的です。
湯:本当ですか。でもそこから色々買い出したんですよ、食器とか冷蔵庫とか色々。だから自炊歴も4、5年です。
――元々料理が得意だったんですか?
湯:いや、全く(笑)。実家で母の料理をちょっと手伝うぐらい。それも、これ切ってとかそんぐらいです。
――いつも大盛りで驚きます。
湯:元々すごい食べるんですよ。でも、どんだけ食べてもそんなに太らないんです。体質なのか分かんないですけど。仕事の関係で1日1食みたいなところもあるかもしれないですが。
――1日1食、夕飯だけなんですね。
湯:はい。基本的に仕事の日は朝も食べないし、お昼も時間があったら食べるみたいな。だから、夜にドカンと食うみたいな感じだったんです。
――かなり遅くに帰ってきてから料理しているように思います。
湯:出勤時間もバラバラで勤務時間が不規則なんです。その日にもよりますけど、結局帰りが23時ぐらいになっちゃうんですよね。そこから食うみたいな。自炊の投稿はリアルタイムであげてるんです、いつも。
――なんで自炊を続けられてるんですか?
湯:楽しいというか……、別に嫌いじゃないからですかね。
――「嫌いじゃない」だけで、続けられるのはすごいです。
湯:コンビニ飯とかも美味しいんで、たまに食べますよ。カップラーメンとか食べたくなるんですよね。焼きそばとか。でも基本的に自炊。「ご飯炊いてねえ」とかになると、今日コンビニでいいやみたいな日もありますけど。
明かされる「涅槃スタイル」の意味
――「涅槃スタイル」(註:プロフィール参照)とは何なのでしょうか。
湯:それは、5lack(註:日本のラッパー)のライムなんですよ。「気がつけばステージの上」っていう曲の歌詞なんです。中学校ぐらいの時にEXILEとかが流行ってたんですけど。なんかそういうのは聴かないで、友達のお姉ちゃんが持ってきたHIPHOPを聴いていたんです。そこからですね。
――このアルバムはサンプリング元が久石譲なんですね。
湯:そうなんですよ。久石譲だけで作ったアルバムなんですよ。かっこいいし、おすすめです。
(取材・構成 書籍編集局 工藤佳子)