23年に8代目を継いだのが、長男の剣一郎さん。大学卒業後、東京で会社務めをしていたときに、姉の香美さんが三重県で「而今」を醸す木屋正酒造に嫁ぎ、蔵元杜氏の大西唯克さんの酒を飲んで衝撃を受けた。酒造りの闘志を燃やし、12年に実家の蔵に入社。伝統を守るだけでなく、精米方法を見直し、新型洗米機を導入。上質な麹ができるタライ麹法を取り入れるなど酒質向上に励む。そして新たな提案が、日本酒のアッサンブラージュだ。「世界にただ一つの酒」を創造する楽しさを消費者と共有。また、自身の名を冠した「KENICHIRO」シリーズを14年に立ち上げ、意欲的な新機軸を打ち出す。昨年から生酛造りに挑み、清らかで豊かな味わいは、飲食業界からも大絶賛。「上越から、新潟酒を変える新星現る!」と、期待の大一番だ。

新日本酒紀行「千代の光」千代の光 純米吟醸KENICHIRO 生酛
●千代の光酒造・新潟県妙高市窪松原656●代表銘柄:千代の光 越淡麗純米大吟醸、千代の光 天福、千代の光 特別本醸造真、千代の光 純米●杜氏:佐藤和敏●主要な米の品種:五百万石、越淡麗、山田錦
新日本酒紀行「千代の光」池田剣一郎さん Photo by Y.Y.
新日本酒紀行「千代の光」麹米はビニール袋で水分調整 Photo by Y.Y.