豪雪の上越から、新潟酒を変える新星現る!

新日本酒紀行「千代の光」仕込み水は大毛無山の伏流水 Photo by Yohko Yamamoto

 1日の積雪量210センチメートル(1946年)の平地における世界記録を持つ新潟県妙高市は、2024年3月に降雪量日本一を記録した豪雪地。市はかつて頚城(くびき)郡と呼ばれ、越後杜氏の一派、頸城杜氏の里で名杜氏を生んだ地。同市で1860年から酒造りをする千代の光酒造は、全ての酒で吟醸酒と同様のきめ細かな造りを行い、端麗辛口が主流の新潟県で、柔らかな甘味とうま味を守る。「冬季には酒蔵が雪で埋もれ、酒造りには最高の環境です」と7代目の池田哲郎さん。蔵が雪のかまくら状態となり、低い室温が一定に保たれる。蔵の背後の大毛無山(おおげなしやま)に積もる雪は雪解け水となり、清冽で潤沢な井戸水で酒を仕込む。