新日本酒紀行「雅山流」蔵元杜氏の新藤雅信さん Photo by Yohko Yamamoto

自社田の酒米で、フレッシュ&クリアな酒を醸して27年

 酒蔵に生まれ、酒造技術に優れた祖父に小学校3年から酒造りを習っていた新藤雅信さん。山形県米沢市の新藤酒造店10代目だ。東京農業大学醸造科学科の卒業間近に祖父が倒れ、22歳で実家の蔵に入社。2年後の1997年に「雅山流」を発売した。地元の酒米に特化してフレッシュでクリアな酒を醸し、価格を抑えた。高品質な酒が気軽に飲めると大ヒットする。「日本酒未経験者の入り口になる酒を、学生時代から研究していました」と雅信さん。

 蔵が立つ上郷地区は、関東以北で最大の古墳群がある、古代に栄えた地。米沢は上杉鷹山で有名だが、上郷地区は米の名産地で、かつては天領だった。新藤家は元庄屋で酒造りを開業。酒造専業になった今も、8町歩の自社田で酒米の出羽燦々と出羽の里を栽培する。