デジタルコミュニケーションは「5W1H」を明確に
企業・団体の組織内で、年長者は若い世代との適切なコミュニケーションの方法がわからずに、自分の価値観をつい押し付けてしまいがちだ。
牛窪 企業の風土や組織の状況もさまざまなので、ひとくくりにはできませんが、従来のコミュニケーション方法が通用しなくなってきているのではないでしょうか。そうしたなか、年長者が、若い世代に率直に尋ねる姿勢はコミュニケーションを円滑にする方法のひとつです。話をじっくり聞いて、若手からアドバイスをもらう姿勢でよいと思います。コロナ禍で、上司が部下と飲みに行く機会も減りました。年長者や管理職にとっては、若い世代との付き合い方が難しい時代になっていますが、仕事の合間の雑談やちょっとした面談で、彼・彼女たちの言葉に耳を傾けられるといいですね。
部下や若い世代とのざっくばらんなコミュニケーションに苦心している上司や年長者が多いなか、牛窪さんは、デジタルツールの効果的な活用を提案する。
牛窪 現在の20代30代は、デジタルネイティブ世代です。SNSやチャットでのやりとりに慣れていますし、デジタル上でのつながりのほうが心理的に安心感を持つように見えます。ツールが増えた分、誰もがコミュニケーションをとりやすくなっている時代とも言えます。
ただ、文字だと、どうしても伝わりにくいことがあります。デジタルのコミュニケーションツールでは、省略語をなるべく使わないようにして、「5W1H」を、明確に、わかりやすく伝えることが大切です。誤解を生む文末や言い切り表現を避けるなど、言葉尻に気をつけたほうがいいですね。絵文字も上手に使うと、言葉のニュアンスを和らげることができます。また、若い世代は、主語を省いて表現することが多いので、誰のことを指しているのかを曖昧にせずに、その都度、確認したほうがいいでしょう。
そして、年長者や上司という立場であっても、対等な立場で接することを私はおすすめします。どんな組織も、次の時代を担うのは、若い世代です。年長者には、「世代交代」の意識が必要で、会社や組織の伝統を引き継ぐだけではなく、彼・彼女たちが何をしていきたいのか、どういう組織にしていきたいのか――この先の可能性を一緒に探っていくことが大切だと思います。継続していくものは継続しつつ、変化するものについては、若い世代の話を聞きながら探っていく。自分の心をいったん「白紙」にして、相手の考えや気持ちを受け入れる柔軟性を持ちたいですね。