株主総会2024#7Photo by Takeshi Shigeishi

株主提案の増加がやみそうにない。個人株主の提案も増え、「1億総アクティビスト化」の様相に頭を抱える経営者は多い。企業が今こそ実践すべき「最強のアクティビスト対策」とは何か。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

激変する資本市場
“悪夢”の総会も現実に

 三井住友信託銀行の集計によれば、今年6月の株主総会で株主提案を受けた企業は91社に上る。昨年の89社を上回り過去最多を更新した。

 提案を受けた企業の顔触れは、時価総額数十兆円から数十億円規模までさまざまだ。トヨタ自動車や日本製鉄、メガバンクなど大企業は気候変動関連の株主提案を受けた。

 ESG(環境・社会・企業統治)の「E」に関するこうした提案は、今や定例化した。今年はさらに、実験動物の購入頭数の開示や、従業員の給与水準の引き上げを求める「S」関連の提案も出された。

 だが、やはり多いのは、増配や自社株買いを求める財務関連、あるいは取締役選解任などを求める「G」に関わる提案だ(下図参照)。

 三菱UFJ信託銀行が5月総会の質問内容を分析したところ、「株価」と「配当」に関する質問が前年から大幅に増加した。昨年、東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に改善を促したことが影響したとみられる。

 企業に提案を行いやすい環境が整い、個人株主の提案も増加傾向にある。

 企業側とすれば、政策保有株式が減り、機関投資家の議決権行使基準が厳格化されたため、自社に賛成してくれる安定株主を見込めなくなりつつある。安易に買収防衛策を導入すれば、導入自体に反対する株主も増えた。

 株主総会で社長の“クビ”が乱れ飛ぶ、そんな悪夢が現実になる日は近いかもしれない。

 では、どうすればいいのか。

 その解を見いだし、いち早く実践に動いた企業もある。