ビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

ビジネス数学の専門家として多くのビジネスパーソンと関わってきた深沢真太郎氏によると、仕事で成果を出す人には「数字に強い」という共通点があるという。ここで言う「数字」は、必ずしも学校で学んできた算数や数学で使われるものとは限らない。仕事で数字を扱うメリットと、活用術を学べば、数学が苦手な人も仕事で結果を残すことができるという。※本稿は、深沢真太郎『入社1年目から、仕事の数字に強くなる本 説得力と信頼感が格段にアップ!』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。

プライベートでも日常でも
「数量」からは逃れられない

 いきなりですが、スリッパを思い浮かべてください。

 もし、あなたが誰かからスリッパを渡されたら、無条件でそれを履くものだと認識し、もちろん「履く」という行為をするでしょう。

 しかし、この当たり前の行為ができるのは、スリッパが左右ペア(つまり2つ)の状態で渡されているからしてしまうのです。

 もしもあなたがスリッパを片方だけ(つまり1つだけ)渡されていたとしたら、いったいどんな行動をとったでしょう。それを履くという行動をするでしょうか(ちなみに私なら、その片方のスリッパで何かを叩きたい衝動に駆られるかもしれません)。

スリッパ(左右ペア)→2→履く
スリッパ(片方だけ)→1→叩く(?)

 実は日常においても、これと似たようなことはたくさんあります。プライベートの飲み会に友人を10人集めるときと、1人だけ誘うときとでは行動がまったく異なるはずです。前者であればSNSなどを駆使して呼びかけるかもしれませんが、後者ならもっとも参加してほしい友人の1人に連絡するだけです。

 お伝えしたいのは、私たちには常に「数量」というものがついて回るということ。そしてその数量で、人は行動を決める場合もたくさんあるのだということです。

「数量が変わると、行動も変わる。ゆえに数量を間違うと、行動も間違う」

 だから、私たちビジネスパーソンは数量に敏感でなければなりません。言い換えれば、数字というものをとても大切にしなければならないのです。

ビジネスパーソンが
仕事で数字を使うメリットとは何?

 では、仕事で数字を使うことの具体的なメリットは何でしょうか。いろんな正解があるテーマだと思いますが、私が1つだけ答えを選ぶなら、迷わずこれです。

「決められる」

 たとえばランチタイム。予算は1000円以内と決めておけば、1200円のビーフシチュー定食は、はじめから選択肢に入れないでしょう。つまり、「食べない」とすぐに決められます。

 普段の仕事でも似たようなことがあるはずです。ある仕事を得意先に発注する基準が「○円以下なら発注する」というものならば、その金額(=数字)で発注する・しないを決めることができます。

 要するに数字とは、もっとも簡単に決めることができる強力なツールなのです。