イヤになったり、投げ出したくなったりしませんか。私はそこからが本当の勝負だと考えます。きつい場面ですが、「よっしゃ、やってやろうじゃないか!」と気持ちを奮い立たせます。

 そうやって、きつくてたまらないときに頑張ってトレーニングすれば、付けたい箇所に筋肉が付くことを知っているからです。

 きついときこそ、頑張りどき。最も力がつくときです。これは仕事も同じです。

 仕事をしている中では、一筋縄ではいかないことに直面し、自分には無理だと感じる場面も数多くあるでしょう。それでも、「あなたしかできない」「なんとか対応してほしい」と頼まれることがあるはずです。

 そんなときこそ、底力が試されます。きつくなってからが勝負。「今頑張れば、本当の力がつく。やってやろうじゃないか!」と考えましょう。そう思えば、きっと苦しい場面でも、立ち向かうやる氣や勇氣が湧いてくるはずです。

何でも輝いてくるから
10年は我慢して続けよう

「10年一区切り」という言葉があります。何事も10年続けると、深みやツヤが出て、自然に輝いてきます。見える世界が変わってきます。

 これまで、私は初めてのことに取り組む機会が数多くありました。最初の年はビギナーズラックでだいたいうまくいきます。2年目もまずまず順調に進み、3年目には完全に出来上がったように感じます。ところが4年目になると、それが勘違いだったと思うぐらい、うまくいかなくなります。5年目、6年目と苦労をして一つの形に仕上げ、7~9年目にも努力を重ね、10年たつとようやく成熟させることができます。

 人間関係も、10年続けば輝いてきます。知り合った時、テレビ局でアシスタントディレクターだった人が、10年後に人気番組のチーフプロデューサーとなって、私をスタジオ出演させてくれたことがありました。新聞の取材で出逢った女性記者が、10年後に編集権限を持つデスクになり、私を取り上げてくれたこともあります。知り合ってから10年を経て、人から「ステキな関係ですね」と言っていただくような輝く人間関係を育てることができたのです。

 何事も10年続ければ、礎を築けます。続けてきた人にしか見えない景色は確かにあります。それを知り、楽しむ気持ちを持ってほしいと思います。