「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は女性特有の悩みを解決する自力整体をお届けします。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)
夏も気をつけたい「骨盤まわり」の冷え
――今回は、女性ならではの悩みを解消する自力整体を教えてください。
矢上真理恵(以下、矢上):夏場は冷房による冷えで、婦人科系の不調が出やすくなります。これは、女性の生理に大きく関わる骨盤の「仙腸関節」(図参照)が冷えて硬くなり、動きが鈍くなるからなんですね。
とくに座りっぱなしの人は、仙腸関節が冷えてカチカチです。
血液やリンパの流れは悪くなり、生理痛、PMS、不妊、難産、産後不調、むくみ、不眠、コリ、だるさ、便秘につながりやすくなります。
さらに、仙腸関節の開閉の左右差がひどい人は、坐骨神経痛や、ひざの痛みも出やすくなります。
週に2,3回のペースで、骨盤まわり、とくに仙腸関節を動かしゆるめていけば、血流は良くなり、骨盤のゆがみも矯正。体は驚くほどラクになります(※ワークは後半で紹介)。
温かく柔らかい骨盤まわりを維持できれば、今この瞬間から更年期・老年期まで、快適に過ごすことができるでしょう。
仙腸関節の調整は、産後の骨盤のズレを矯正したり、足腰の慢性痛も予防できるので、新習慣として取り入れてみてください。
骨盤まわりをゆるめたら、不調が消えた
――矢上さんご自身も、骨盤まわりをゆるめることで、ひどい体調不良から立ち直ったと本に書かれていました。
矢上:そうですね、私もかつて骨盤まわり、とくに仙腸関節がカチカチに冷えて硬くなっていて、心身ともに最悪な時期がありました。
海外でキャリアアップに挑戦していた20代のときです。がんばりすぎて、不眠、冷え、むくみ、だるさ、便秘、PMS、偏頭痛に悩まされていました。
とうとう朝が来てもベッドから起きあがれなくなってしまったとき、「このままじゃマズイ…」と思い、父が考案し指導していた自力整体をやってみたのです。
お腹をマッサージしてみると、まるで氷まくらのように冷たく硬い感触でした。
私の体調の悪さ・痛みは、まさに骨盤まわりの冷えだったのです。
骨盤まわりを中心に仙腸関節をゆるめていくと、いっきに体中に血が流れ、お腹は湯たんぽのように温かくなりました。
体はすっかり脱力モード。アクビが何度も出ました。
そして腸が動きだし、たまっていたものが翌朝すっきり排泄されたのです。
その夜から熟睡できるようになり、体は羽が生えたように軽くなりました。
PMSや偏頭痛も気にならなくなったのです。
自力整体のすごさを、再発見する体験でした。
――ぜひ、ワークの一部をウェブ読者のみなさんにもご紹介ください。
矢上:自力整体の動きのほとんどは、骨盤の矯正やゆるめるのに役立ちますが、今回はとくに婦人科系の不調、産後の痛み、腰痛、坐骨神経痛、ひざ痛に役立つ「仙腸関節をゆるめる」ワークを紹介しましょう。
幅広い年齢層の女性の悩みを解決します。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗