「家計と資産形成は別物」と考えるのは間違っている

 NISAの資産額は増えていて、個人年金保険も金利が高いので将来性があるとのことですが、根本的な家計状況は悪化しています。貯金が十分にない状態で、投資や貯蓄型保険を始めるのは本末転倒です。このままでは、財形貯蓄の引き出しだけでは足りず、キャッシングなどを利用しないと、生活費さえも支払えなくなる可能性があります。

 Sさんご夫婦は、収入が限られていることは理解していますが、家計と資産形成は別物と認識しているようです。しかし、とりあえず資産形成の行動を起こせばOKというものではありません。家計をしっかり作り、そこから投資をしていく。その基本的な流れをつくることが重要です。それができないので、全体的に中途半端になってしまい、むしろ悪いほうへと進んでしまいそうです。

 資産形成を始めなくてはと焦る気持ちは理解できますが、まずは柔軟な姿勢で家計改善に臨むべき。安定した生活を継続しつつ、資産を形成していくために、必須なのはそこです。

 家計の赤字がまだ軽症なうちに、早く気付いて行動に移していただきたいと思います。自分がやろうと思うものについては、実行した場合の結果を、家計を資産形成の両面から総合的にイメージをしてから始めてほしい。そこが大切なのです。