誰もが動きを止めた時こそ
相談のタイミング

 少し前まで、多くの人が口を揃えて言う「立ち止まってしまった原因」はコロナ禍でした。

「コロナだから、アポイントをとってもうまくいかないよ」

「こんなときにプロジェクトを動かそうとしてもだめだろう」

 誰もが動きを止めているときもまた、相談するタイミングと言えます。もちろん、すぐに結果は出ないかもしれません。ですが、そうした時期こそ、相談して選択肢を洗い出し、解像度を高めておくことで、いざ動くときに芽が出る「種」となります。

 私が社外取締役を務めている、観光産業に特化した人材サービス業界最大手のある企業は、「特定技能者」、つまり海外からの人材の受け入れ事業を行っています。

 しかし、コロナ禍で海外からの人材流入が止まってしまいました。そんなとき、社長から「最近、担当責任者がやれることが少なくて困っているんだよ。彼と話をしてくれないか?」と打診されました。

 私は、さっそく海外人材受け入れの担当責任者と話をしました。彼は言います。

「コロナで海外の人が日本に来られなくなって、今やれることが限られてしまっているんです」

「なるほど。でも、これから伸びていく事業ですよね?」

「そうですけど、まだマネタイズもできていなくて。これからだと思っていた矢先にコロナになってしまったんです」

「競合他社も動きが止まっている今だからこそやれることもありそうですね。特定技能者の方を日本に連れて来る準備などはできそうですか?」

「はい」