老化問題は社会を映す

 世界には、長寿で知られる5大地域があります。名付けて「世界の5大ブルーゾーン」。日本の一地域も堂々とその中に含まれています。次の通りです。

1 沖縄(日本)

2 サルデーニャ島(イタリア)

3 ロマリンダ(アメリカ・カリフォルニア州)

4 イカリア島(ギリシア)

5 ニコヤ半島(コスタリカ)

「沖縄は、世界有数の長寿地域なのか!」

 そう驚かれた人も多いのではないでしょうか。沖縄には長寿の人が多い―の理由としてまず考えられるのは、食生活でしょう。沖縄料理は、基本的に塩分が少なめです。糖分も控えめで、野菜の摂取が多く、オメガ3脂肪酸のような魚由来の油をたくさん摂ることができる。まさしく長寿食です。

 さらに沖縄には「ゆいまーる」という助け合いの精神が根づいていて、仲良し同士で踊ったり歌ったりして楽しんでいる。生涯にわたる友人が多いのも、長寿の理由の一つだと思います。ちなみに、5大ブルーゾーンに見られる5つの共通項は次の通り。「強い社会的なつながり」「健康的な食事」「適度な運動」「ストレスのない生活」「人生の目的や目標」です。

 その一方、同じ日本でも平均寿命の短さで知られているのが、東北地方の青森県や秋田県などです。意外かもしれませんが、四国地方の高知県や徳島県も平均寿命は長くありません。この理由も想像がつくと思いますが、やはり食事の影響が大きいでしょう。東北地方の食事は塩分が多い。あるいは四国地方といえば讃岐うどんの本場ですから、炭水化物摂取量の多さが、寿命に関係しているのだと思います。

 ただし沖縄も、最近では決して長寿県とはいえなくなっています。なぜなら食事が、伝統食からハンバーガーなどアメリカ風のファストフードに変わってきているからです。ちなみに2020年の平均寿命の都道府県別ランキングを見ると、沖縄は男性で43位(80.73歳)、女性で16位(87.88歳)となっています(厚生労働省「令和2年都道府県別生命表の概況」より)。それほどまでに、食事は寿命に大きく影響を与えるのです。